サロン・デ・ミュゼ・ド・フランス「19世紀フランス美術の光と影」第3回「モネ - 印象としての絵画」
第一部 新しい時代のパリに花開いた、モネと印象主義の秘話
エドゥアール・マネ「オランピア」
クロード・モネ「サン=ラザール駅」
© Photo RMN-H.Lewandowski/digital file by DNPAC
 1840年、パリに生まれたモネは、印象派の代表的な画家として、美術史にその名を刻まれています。本江先生は、まずモネの芸術を理解する上でもっとも重要な「印象主義」のお話から始めてくださいました。モネをはじめルノワールやピサロといった画家たちは、それまで考えられていた色彩学を否定し、太陽光線のもとで見える、本当の色をカンバスに表現しようと努めました。つまり彼らは、影は黒の絵の具で表現するといった、今までの思い込みに真っ向から反論を呈し、自分たちの眼で見たモチーフの“印象"をカンバスに写し取っていったのです。絵を見るという行為が教養に裏づけされていたこの時代、彼らの革新的な絵は、国家的な公募展「ル・サロン」ではなかなか評価されなかったものの、新しい社会を担う市民階級によって支持されることになります。絵画の世界だけでなく、当時の時代の流れも交えてのお話は、ダイナミックでもあり、いかに印象派が“新しい芸術"であったのかを、再認識させられるものとなりました。
また先生の解説とともにスライドで初期から晩年にいたるモネの作品を見ていくと、その変遷が手にとるように分かります。印象主義への目覚めから、家族との幸せな日々、画家仲間との交流や最愛の妻を失った喪失感……。カンバスにはそんな画家の一生が塗りこめられていることを、出席された皆さんも改めて痛感されたようです。
 画集などを見ているだけでは分からなかったモネと「印象主義」の新しい一面を知った一夜。きっとこれから美術館で印象派の絵を見るときには、また違った視点から楽しむことができるのでないでしょうか?
第二部 モネの『草上の昼食』に描かれたワインの正体は
 第二部は、毎回ご好評をいただいている画家にちなんだワインのご紹介です。本江先生が今回の講座のためだけに作ってくださった資料のなかにも紹介されていたように、モネは友人で画家のバジールにむけて、ワインを一樽所望する手紙を書いています。そんな手紙からもワイン好きであったと思われるモネは、ピクニックの情景を表した自身の代表作のひとつ『草上の昼食』にワインの瓶を描いています。それは瓶の形状から、“ワインの女王”と称されるボルドーのものではないかと推測されるとのこと。今回は、そのボルドーワインのなかでも最高級品を産出するといわれるメドック地区の「シャトー・ムーラン・ド・スーベイラン(1999)」をお楽しみいただきました。まさに飲み頃といわれる1999年もののこのワインは、ほのかにスパイスの風味を漂わせるバランスの取れた赤ワイン。バルサミコなどで香りづけしたショコラ(銀座7丁目のショコラティエ「リシャール」ご提供)との相性もぴったりです。芳醇な香りに包まれたホワイエでは、グラスを片手に本江先生にご質問をされる方の姿も見られ、外の寒さを忘れさせてくれるような熱気あふれるサロンとなりました。
サロン・デ・ミュゼ・ド・フランスは、4月まで各月1回のペースで開催いたします。
次回は今年、没後100年を迎えるセザンヌがテーマ。本江先生のお話によって、セザンヌがどんな姿を見せるのか?ぜひ次回のサロンもご期待ください。
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