「フランスの美術と歴史を巡りながらワインを楽しむ夕べ」
 日本を代表するグラフィック・デザイナーで、ワインに深い造詣をお持ちの麹谷宏氏をお迎えしての全2回のサロン講座。今回のテーマは「フランスの世界遺産とワイン」。第1夜に引き続きのご参加の方も多く、会場では講座が始まる前から、これから饗されるワイン、そして麹谷氏のお話への期待に満ちた声が聞こえてきました。
 そして「素晴らしいワイン、ロブマイヤーのグラス、菊乃井のお料理。今夜も“仕掛け”は最高です。あとは僕の話がどれだけ皆さんを楽しませることができるかだけですね」という麹谷氏の言葉を皮切りに、ワインとフランス文化をめぐる芳醇な一夜が始まりました。 
「フランスの美術と歴史を巡りながらワインを楽しむ夕べ」
「世界遺産とワイン」にどんな結びつきがあるのだろうと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現在、世界遺産として登録されているフランスの史跡30件弱のうち、その多くがワインの産地と重なっているのです。麹谷氏は、まずはシャンパーニュ地方のランスの大聖堂を例に、フランスにゴシックが生まれた背景を説明します。さらに、パリ、アルザスの世界遺産を経て、ジャンヌ・ダルクの物語を核にロワールの地が歩んできた“血なまぐさい歴史”を語り、ブルゴーニュのシトー会修道院を例に、栄華を誇ったキリスト教の世俗化と堕落の歴史を紐解く──。ユーモア溢れる語り口でとめどなく溢れ出す興味深いエピソードの合間には、それぞれの地のワインの解説が入ります。麹谷氏ならではの絶妙な語り口に、皆さん一様に引き込まれた様子でした。そして、最後に麹谷氏は、ご自身の大切な思い出をひとつご披露くださいました。ブルゴーニュのドメーヌ「シモン・ビーズ」に、大壁画を描いた際のエピソードです。麹谷氏とフランスとの深い結びつきが、氏の飾らない人柄とともに伺え、会場はなごやかな雰囲気に満たされました。
 美術、歴史、そしてワイン。人の感性をくすぐる三つのジャンルが交じり合い、フランスへの好奇心がますます刺激された二夜となりました。
   
 
お料理―赤坂 菊乃井 グラス提供―「ロブマイヤー」ロシナンテ
お料理
グラス提供 

赤坂 菊乃井
「ロブマイヤー」ロシナンテ
 第1夜 ワインリスト

シャンパーニュ

テタンジェ/ブリュット レゼルブNV
テタンジェ/ブリュット ミレジメ2002

アルザス

タイユヴァン2004 リースリング

ロワール

シノン/アリエ ヴィエイユ ヴィーニュ2004

ボルドー

シャトー ベレール2004 ポムロール

ブルゴーニュ

シミオンビーズ/セルパンティエール1999
セヴィニ レ ボーヌ