『ルーヴルの主(あるじ)とコレクション』

日時:2010年4月9日(金)18:30-20:30
クリスマスイルミネーションに彩られた華やかな銀座の街。一年でもっとも銀座が輝くこの期間、MMFにも特別な一夜がもたらされました。

 本講座2度目の開催日となった13日(月)は、銀座のイルミネーションを冷たい雨が濡らす日となりました。寒さに身を震わせて会場に到着した参加者の方々は、テーブルの上に用意されたフロマージュと輝くグラスを見て、頬を緩めます。今宵はどんなシャンパーニュとアートに出会えるのか――そんな期待感が会場を包み込みました。

 「こんばんは。今日はとても贅沢な夜になりそうです。極上のシャンパーニュ、シャンパーニュ地方のフロマージュ、そして最高級のロブマイヤーのグラスをご用意いただいていますから」

 フランクな語り口でそう話されるのは、今回の講師である麹谷宏氏。日本を代表するクリエイターでありながら、ワインの魅力に取りつかれ、その普及のための講演やイベント企画などでも活躍されています。

 「僕は若い頃にフランスにいた時、フランス人がワインに対して特別な愛情を持っていることに気付きました。古くからフランスでは、ワイン製造の利潤などで孤児院や施療院をはじめとした公共の施設が作られてきました。こうした歴史上の背景が、ワインに対する一種独特な愛着になっているんだと思います」

 この言葉を裏付けるよう、麹谷氏はフランスという国がまだ世界地図になかった3世紀頃の歴史からお話を始められました。その間に、麹谷氏、そして参加者の方々の前に置かれたロブマイヤーのグラスには、シニア・ソムリエ山田晃通氏がシャンパーニュをサーブして下さいます。愛おしそうにグラスに目をやり、喉を潤した麹谷氏は、シャンパーニュ地方の歴史からゴシック建築の美、さらにはガレや藤田嗣治とマム社といった芸術家と老舗メゾンのエピソード、また現代アーティストが手掛けたアートボトルなどを、実際の写真を交えながらユーモアたっぷりに解説されます。

 「大笑いしたエピソードがあるんですよ。日本人として初めてシャトー・ムートンのエチケットを描いた洋画家、堂本尚郎(どうもと ひさお)さんから実際に伺ったお話です。最初、依頼があった時、『酒のラベルに絵を描くなんて、そんなことできるか!』って断ってしまわれたそうなんです。でもね、お仲間にそのお話をしたら、シャトー・ムートンがすごいところだと知って、慌てて『やります!』ってお返事されたそうですよ」

 馥郁とした香りを放つ3種のシャンパーニュと麹谷氏の巧みな話術によって、参加者の方々は心地よい酔いに包まれた様子でした。

●この日楽しんだ麹谷氏セレクトの3本
<シャンパーニュ>
*マム/コルドン ルージュ ブリュット(写真 左)
*ポメリー/ブリュット ロゼ(写真 中央)
*ドラモット/ブラン ド ブラン(写真 右)
<グラス>
*ロブマイヤー/バレリーナ
<フロマージュ ド シャンパーニュ>
*シャウルス
*ラングル

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