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「作品とワインで巡るルーヴル美術館展」

上野の東京都美術館で開催中の話題の展覧会「ルーヴル美術館展 - 地中海 四千年のものがたり -」の開幕から間もない7月26日、MMMでは、展覧会をより楽しむための講座を開催しました。今回は作品だけでなく同時に地中海ワインも楽しむという盛りだくさんな講座内容となりました。

 この日、講師としてお招きしたのは國學院大學教授で、今回のルーヴル展のカタログ制作にも携わられた小池寿子先生と、MMMのワイン講座ではもうすっかりおなじみのグラフィック・デザイナーの麹谷宏さんです。これまで数回の講座を通して、麹谷さんは軽妙な語り口で、ワインへの深い造詣を披露してくださっています。ルーヴル展の出品作品とワインはどんなコラボレーションを見せてくれるのか、おふたりが登壇される前から、会場には期待感が溢れていました。

 まず口を開いたのは麹谷さんでした。

 「今日、お集まりの皆さんはきっとお酒好きな方ですよね(笑)。今日は地中海の極上ワインが5種類も試飲できます。すべて飲むと、ボトル半分くらいになるんじゃないかな?」

 麹谷さんの言葉に、会場からも笑いが漏れます。そんな中、麹谷さんは、配布された地図を参考に、ワインの生まれ故郷の話から始められました。ワインは、記録の手段を持つ前から中東で生産されていたこと。また当時のワインは、貴重な飲料水として人々にとって欠かせないものであったことなど、分かりやすい説明が続きます。

 「当時はワインだけ単体で飲むことはなかったんですよ」
 そんなひと言に、会場からは驚きの声が上がりました。
 「糖度が高かったので、水で割ったり、海水で割ったりして、飲んでいたんです」

 麹谷さんの言葉を受けて、小池先生がスクリーンに映し出したのが、今回の展覧会に出品されている〈赤像式クラテル(壺):牡牛に変身した主神ゼウスによる王女エウロペの掠奪〉です。

 「このクラテルは、いま麹谷さんがお話しくださったように、ワインと水などを混ぜるための器です」

 古代ギリシアの陶器が多く出品されている本展に行くと、その形の豊富さと美しさに驚かされます。古代ギリシア人は混酒用、貯蔵用、水甕などと、用途ごとに適した形の陶器を作っていたのです。小池先生はこうした器のさまざまな用途をはじめ、本展を展覧する上で参考になるようなモティーフの解説、さらには小池流ともいうべきユーモア溢れる作品解釈を次々とお話しくださいました。

 「今回の展覧会は、特に古代の作品にとても面白いものが出品されています。そうした作品を見ていると、古代ギリシアの人々の暮らしや嗜好が見えてきます」(小池先生)

 息の合った麹谷さんと小池先生の掛け合いに、すっかり酔いしれた一夜。ワインと美術の“マリアージュ”を存分に楽しんだ時間となりました。

この日のワインリスト
1. カヴァクリデレ ブリュット(スパークリングワイン)/トルコ
2. シャトー・サントマ(赤ワイン)/レバノン
3. ヤルデン・メルロー(赤ワイン)/イスラエル
4. マゴンAOC1級(赤ワイン)/チュニジア
5. クルタキス マスカット・オブ・サモス(白ワイン)/ギリシア

「ルーヴル美術館展-地中海 四千年のものがたり-」の取材記事はこちら