<まちの中のデザイン、  暮らしの中のデザイン>

銀座MMMで2〜3月に開催されていた「GIFT〜未来に託すデザインリボン」展にちなみ、ホワイトデー前日の3月13日、レクチャー&ワークショップが行われました。アートディレクター関本明子さんを講師にお招きし、前半では暮らしの中のデザインについて、後半ではラッピングコーディネーター五味栄里さんとともにギフトボックスの作り方をレクチャーしていただきました。


▲講師の関本明子さん(左)、司会の大迫修三氏(中央)、五味栄里さん(右)

会場に入ると、さまざまなデザインのパッケージが飾られ、机の上にはカラフルなリボンやボックスが用意されていました。可愛らしい雰囲気に包まれた空間に、参加者の皆さんのワクワクしている様子が伝わってきます。今回、講師にはカンロの直営店「ヒトツブカンロ」、ローソン「マチカフェ」などの誰もが目にするまちの中のデザインを手掛けるアートディレクター関本明子さんをお迎えし、日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)事務局長の大迫修三氏の司会で、日ごろの活動についてお話しいただきました。  


  • ▲関本明子さんが手掛けた「ヒトツブカンロ」

  • ▲関本さんデザインのカンロ商品パッケージ

まずは、関本さんが商品パッケージはもちろん、トータルにデザインを手掛けている「ヒトツブカンロ」について説明してくださいました。「ヒトツブカンロ」とは、カンロ飴で有名な老舗お菓子メーカーのカンロ株式会社が創業100周年を記念して、2012年に東京駅にオープンさせた初の直営店です。関本さんは「カンロ飴は年齢を問わず多くの人に長く愛されている非常に有名な商品です。ですから、カンロが運営していることが分かるように、お店の名称も“カンロ”という言葉を入れた『ヒトツブカンロ』にしました。さらに、ロゴやパッケージにもカンロの“ロ”の字を使ったデザインを提案しました」と、ヒトツブカンロの誕生秘話を明かしてくださいました。
さらに、パッケージのデザインについて、関本さんがとくにこだわったのは、「ブランドの名前を主張しすぎない」こと。「飴は日持ちするものなので、女性が鞄の中に入れて持ち歩いたり、小物入れとしてリユースしたり、ギフトととしてプレゼントする際に、持ち歩く人、プレゼントする人の気持ちを最優先に考えました。その結果ブランド名称を主張しすぎないという所に行き着きました」。
こうしたさまざまなアイデアの根底には、「最低限、自分が絶対ほしいと思えるもの」「見たことがあるものや似たような考え方ではなく、常にこういう可能性があるのではないかと、挑戦していくこと」と、関本さんならではのこだわりがあると言います。その上でヒトツブカンロに関して、「飴って楽しいものなんだと思ってもらいたい。飴をコンビニで買う人も多いですが、人にプレゼントするためにもこのお店を利用してもらいたい」とお店に込める思いを語ってくださいました。
その後も、スライドを織り交ぜながらご自身が手掛けたさまざまなデザインや、今回のテーマにちなんだユニークなリボンについて紹介してくださいました。


  • ▲リボンの結び方を教わるワークショップ

  • ▲リボンのループを立ち上げるのがコツと五味先生

そしてレクチャーの後は、いよいよワークショップがスタート。ラッピングコーディネーター五味栄里さんも加わり、リボンの結び方を指導していただきました。五味さんは冒頭、「今日は皆さんにプロフェッショナルとなって帰っていただきたい」とご挨拶。実際に五味さんのレクチャーを受けてやってみると、自分がいままで結んできた形とはまったく違う形状になることに目からうろこが落ちる思いでした。


  • ▲五味先生が目の前でリボンの結び方を実演

  • ▲参加者が結んだリボン作品

「リボンはループがお花のように綺麗に立ち上がっているかどうかで美しさが決まります」と五味さん。最初はなかなかうまく結び目が作れなかった方も、最後には、カンロのお菓子を詰めたオリジナルボックスを作り上げ、参加した方々は一生もののテクニックを身につけることができたようです。大切な誰かにお気に入りのリボンを使って自分のラッピングで贈り物をしてみたい――。そんな気持ちにさせてくれる一夜となりました。

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