ヴェルサイユ宮殿美術館の展覧会カタログ『アンドレ・ル・ノートル 全体像』André Le Nôtre en perspectives
1900年のパリ
『アンドレ・ル・ノートル 全体像』 
André Le Nôtre en perspectives
著者/アンヌ・アリマン=ヴェルディロン
26×31.6cm/412ページ
フランス語/刊行2013年
出版社/Hazan
本体記載価格/49ユーロ
※この情報は2014年8月更新時のものです。
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ルイ14世が愛した「空間の魔術師」
造園家ル・ノートルの芸術を紐解く

樹々が濃い葉影を落とし、噴水を吹き抜ける風に涼を感じる夏の庭園――。夏のバカンスを海外で過ごそうと考えている方々にとって、庭園は旅の目的のひとつになるほどの魅力を秘めています。現代のわたしたちがそうであるように、古くから多くの人々が庭園に魅せられてきました。

中でもフランスの太陽王ルイ14世の庭園好きは広く知られています。のちに『ヴェルサイユ庭園案内』という書物まで自ら執筆することになるルイ14世は、財務卿を務めていたニコラ・フーケに激しく嫉妬したといわれています。それは、フーケがあまりにも優美で端整な庭園を持っていたからです。実はその後、フーケは失脚することになりますが、これもルイ14世による遠謀という説があるほど。フーケが表舞台から退くやいなや、ルイ14世はヴェルサイユ宮殿の造園をある男に命じます。彼こそが、フーケの素晴らしい庭園を手掛けたル・ノートルその人でした。陰謀説の真偽は歴史の闇の中ですが、庭園には人々を惑わす魔力があるようです。

ル・ノートルの生誕400周年を迎えた2013年の10月から今年の2月まで、ヴェルサイユ宮殿美術館で開催されていた展覧会図録である本書は、「空間の魔術師」といわれた奇才の実像に迫ります。手掛けた庭園の図面はもちろん、ヴェルサイユ宮殿の庭園の情景を描いた作品、さらには庭園をモティーフとした近・現代作品までを掲載した400ページを超える豪華本は、わたしたちを空想の庭園散策に誘ってくれます。その完璧な仕事ぶりから、やがて王の側近となり、親密な友人ともなったル・ノートル。時代を超えて人々を惹きつけるル・ノートル芸術の真髄に触れられる一冊です。

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Update : 2014.8.1
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