『カルティエ現代美術財団の30年』
30 ans. Fondation Cartier pour l’art contemporain
著者/アラン=ドミニク・ペラン
23×31cm/252ページ （volume 1）、372ページ（volume 2）
仏語/2014年
出版社/Fondation Cartier pour l’art contemporain
本体記載価格/お問い合わせください
※この情報は2015年2月更新時のものです。

2冊の豪華本で財団の歩みを振り返る

先月の特集でご紹介したカルティエ現代美術財団。注目の一冊でピックアップするのは、その設立30年の歩みを振り返る豪華2巻本です。長い歴史を持つ美術館がひしめくパリにあっては、開館30年のこの財団の美術館はまだ若い美術館ですが、1984年にフランス初の企業財団として産声を上げた財団の功績は、年月だけでは測ることができない大きなものとなりました。この2冊は、これまでの美術館の企画展やプロジェクトを紙上で再現するような充実した内容です。

1巻目は、カルティエ現代美術財団の歴史の中で中核を成してきたアーティストへのインタビューを中心に構成されています。これまで開催してきた企画展を振り返るとともに、アーティストのインスピレーションの源に、大判の美しい写真とともに多彩な角度から触れることができます。

2巻目では、カルティエ現代美術財団のアドバイザーや批評家、またサポーターなど、財団に近い人々のメッセージから、その歩みや財団が成してきた役割を紐解きます。多くの未発表作品の写真、さらにアーティストの貴重なスケッチなども掲載し、これまでの全企画展を時系列でたどっています。

重厚な金の箱に収まった2冊の豪華本は、つねに現代美術の分野に果敢に挑戦をし続けてきたカルティエ現代美術財団のすべて。ページを繰るごとに、財団が30年かけて築き上げてきた“宝の箱”を開けるような気分に浸ることができます。