写真集 カンディダ・へーファー、それら自身の空間(場)
『プラド美術館』
『カンディダ・へーファー、それら自身の空間(場)』
Candida Höfer. Spaces of their own
著者/Herbert Burkert
29.8×31.1cm/112ページ
英語/2010年
出版社/Xunta de Galicia SCHIRMER/MOSEL
本体記載価格:なし
※この情報は2015年12月更新時のものです。
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女性写真家が切り取った
有名図書館の不思議な光景

今年もパリでは、11月12日から15日までの4日間、写真の国際アートフェアであるパリ・フォトが開催されました。約20カ国からギャラリーや出版社が参加し、約5万人もの人々が訪れるパリ・フォトは、いまや11月のパリを彩る風物詩。そのパリ・フォトにちなみ、今月は、個性的な写真集をご紹介します。

現代ドイツを代表する女性写真家のひとりカンディダ・へーファーは、多くの現代写真家の師として知られるベルトン&ヒラ・ベッヒャーに学んだため、ベッヒャー派と称されます。2014年には、日本でも個展が開催されたため、ダイナミックでありながら、どこか詩的な雰囲気を感じさせる作品を見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。

へーファーは、図書館や宮殿、美術館、劇場などの建築の室内を、正面から撮影した作品で注目を浴びました。本書に掲載されているのは、各国の有名図書館を撮影した写真から、人間の姿を消し去り、空間とその機能、装飾、そして図書館の主役たる本の存在感を際立たせた作品ばかりです。建築の持つ純粋な力強さに加え、時間軸を超越したかのような独特の雰囲気を有する作品群は、ひとたびページをめくると、その手をとめることができなくなるような不思議な求心力を宿しています。

彼女のファインダーが切り取った空間は、フィレンツェのウフィツィ美術館の図書館、ヨーロッパ最古の大学のひとつといわれるボローニャ大学の図書館、大英図書館をはじめ、どれも歴史ある図書館。人の姿がないゆえに、この席にどんな歴史的な英雄が座ったのだろう――、その本をどんな人々が手に取ったのだろう――と、その1枚1枚が見る者の想像力を刺激します。まるで、有名図書館の空間を独り占めするかのように楽しめる写真集です。

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Update : 2015.12.1
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