『ウンターリンデン美術館の傑作、イーゼンハイム祭壇画』
『ウンターリンデン美術館の傑作、イーゼンハイム祭壇画』
『ウンターリンデン美術館の傑作、
イーゼンハイム祭壇画』
The Isenheim Altarpiece. The Masterpiece of the Musée Unterlinden
著者/Pantxika Béguerie-De Paepe
28×22cm/127ページ
英語/2015年
出版社/Artlys
本体価格/19ユーロ
※この情報は2016年10月更新時のものです。
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謎多き《イーゼンハイムの祭壇画》を読み解く一冊

フランス東部のアルザス地方、コルマール市にあるウンターリンデン美術館は、フランスの地方美術館の中で、一、二を争う人気美術館です。今月の特集記事では、2015年12月に拡張工事を終えてリニューアルオープンを迎えた同美術館をご紹介していますが、この美術館にここまで世界各国の美術ファンが集まる理由は、ドイツ人画家グリューネヴァルトによる《イーゼンハイムの祭壇画》にあります。今回はウンターリンデン美術館が誇る、謎めいた《イーゼンハイムの祭壇画》を読み解く一冊をご紹介いたします。

《イーゼンハイムの祭壇画》が描かれたのは、今から約500年前の1512年〜1516年のことです。祭壇画は、聖アントニウスが祀られた祭壇の二重の扉に描かれ、聖書で語られる「受胎告知」「キリスト磔刑」「キリストの復活」など、10の場面で構成されています。現在は、祭壇からパネルごとに解体され、表裏を見られる形で展示されています。

各パネルの中で最大の中央パネルは縦269p、横307cmという大きさで、「キリストの磔刑」の場面が迫真の筆致で描かれています。釘で打ち抜かれた節れだったイエスの足は、歪んでねじれ、その細部にイエスの痛ましさが映し出されているようです。全10パネルという大規模な構成はもちろん、執拗なまでの細部のドラマティックな表現から、画家グリューネヴァルトの凄みが感じられます。本書には、《イーゼンハイムの祭壇画》が制作された歴史的背景や全体像の解説はもちろん、こうした細部の拡大図版も多く収載されています。

“史上最強の祭壇画”といわれる《イーゼンハイムの祭壇画》を隅々まで読み解くことのできる、貴重な一冊です。

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Update : 2016.10.1
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