「レアチュー美術館―   クリスチャン・ラクロワ」

「レアチュー美術館―クリスチャン・ラクロワ」
Musée Réattu | Christian Lacroix
23×28.8cm/192ページ
フランス語/刊行2008年
モード界の寵児ラクロワが故郷アルルで魅せる
モードと美術のコラボレーション
フランス、オートクチュール界に君臨するクリスチャン・ラクロワは、モード界とアート界との架け橋として精力的に活躍しています。南仏アルルに生まれたラクロワは、芸術好きな家族に囲まれ、幼いころから美術に親しんで育ちました。そんなラクロワ青年はやがて、パリのソルボンヌ大学で美術史を学び、美術館の学芸員になることを夢見るようになります。いまやモード界の重鎮となったラクロワは、若い頃に育んだこうした美術の知識を生かして近年では、さまざまな展覧会の企画に意欲的に参加しています。
 今回ご紹介するのは、そんなラクロワの審美眼がいかんなく発揮された展覧会のカタログです。ラクロワの故郷アルルにあるレアチュー美術館は、アルル出身の画家レアチューの作品をはじめ、プロヴァンス派の絵画や彫刻、ピカソのデッサン、現代写真などをはじめとした上質なコンテンポラリーアートも収蔵しています。15世紀のマルタ騎士団の修道院を利用した中世の趣豊かな館内に、現代アートが違和感なく寄り添う、不思議な雰囲気が漂います。そしてこのレアチュー美術館で2008年5月から12月31日まで開催中の同名の展覧会は、この美術館をさらにイマジネーションあふれる空間へと変貌させました。
 そこでは、アルル出身の画家で生き生きとした集団肖像画を得意としたアントワーヌ・ラスパルの作品とともにラクロワの衣装が展示されたり、古代彫刻の傍らにラクロワのデザイン画が並べられたりと、想像力を刺激されるインスタレーションが繰り広げられました。そんな世界観をそのまま閉じ込めたのが本書です。ラクロワの序文とともに、美しい写真で構成された一冊はページを繰るたびに、まるで美術館のなかを巡っている気分にさせてくれます。お洒落な写真集としても楽しめる上質な一冊です。
※こちらでご紹介する書籍はMMFインフォメーション・センターにて閲覧いただけます。MMF所蔵資料データベースはこちら