フランスの写真家たち〜ドゥニーズ・コロン/ウィリー・ロニス〜

ヨーロッパ最大規模の写真のビエンナーレ「Mois de la Photo à Paris(パリ写真月間)」も今年で30周年を迎えます。今回は「Paris Collectionne(コレクションするパリ)」をコンセプトに、ヨーロッパ写真館(MEP)などが所蔵するコレクションをキーワードに、さまざまな展覧会が開催される予定です。

そこで、MMFのインフォメーション・センターからは、近年、パリで開催され、大きな話題を呼んだ、ふたりのフランス人写真家の回顧展の図録を紹介いたします。

『アンティル諸島のドゥニーズ・コロン』

『アンティル諸島のドゥニーズ・コロン』
Denise Colomb aux Antilles
14×17.5cm/143ページ
フランス語/刊行2010年
価格/7,617円(税込)

2004年1月1日、101歳で亡くなったフランス人写真家ドゥニーズ・コロン(1902-2004)。彼女は、マルティニク島の詩人エメ・セザールの招きで、1948年と1958年、二度にわたって西インド諸島へと旅し、マルティニク、グアドループ、ハイチでルポルタージュ写真を撮影しました。本書はこの時の旅にフォーカスした展覧会の図録。アンティル諸島の日常生活や衣服を撮った写真約130点や、旅の記録(民族学的考察や内省録)、当時の新聞記事など、展覧会の出品作を収録するとともに、戦前戦後、約70年にわたって、人間と芸術に対する時代の証言として写真を撮り続けた女流写真家コロンの魅力を紹介しています。

モノクロしかなかった1948年の旅、そしてカラーフィルムが登場した1958年というふたつの撮影旅行を収めることで、マルティニク島の10年という時の流れ、そして、人間に対するコロンの変わらぬ温かな視線を感じることのできる一冊です。

 

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『ウィリー・ロニス “詩的なアンガジュマン”』

『ウィリー・ロニス “詩的なアンガジュマン”』
Willy Ronis "Une poétique de l'engagement"
26.5×32.5cm/189ページ
フランス語/刊行2010年
本体記載価格/35ユーロ

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2010年8月まで、パリの貨幣博物館で開催されたウィリー・ロニス(1910-2009)の生誕100周年を記念する大回顧展。準備中の2009年9月に、ロニスが亡くなったこともあり、大きな話題を呼びました。ロニスは、日本ではあまり知られていませんが、アンリ・カルティエ=ブレッソンやロベール・ドアノーらとともに、フランスを代表する「ヒューマニスト写真家」のひとりで、本国フランスでは高い評価を受けています。本書は、回顧展で展示されたパリの街角や人々などを写した代表作をはじめ、旅先で撮影された未発表の写真など約150点のほか、ロニスが写真集『Sur le fil du hazard』を発表した際のテキストなども収録。写真家ロニスの遺産を凝縮した一冊です。

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