『クロード・モネ 1840-1926』


『クロード・モネ 1840-1926』
Claude Monet 1840-1926
序文:ギ・コジュヴァル(オルセー美術館館長)
25.5×29.5cm/384ページ
フランス語/刊行2010年
本体記載価格/50ユーロ

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30年ぶりのモネ大回顧展を紙上で堪能する

印象派の巨匠クロード・モネ(1840-1926)。没後80余年を経て今なお、人気・知名度ともに他の追随を許さないフランス人画家のひとりです。今年は、その生誕170周年に当たる節目の年。パリのグラン・パレ・ナショナル・ギャラリーでは2010年9月22日(水)から2011年1月24日(月)まで、モネの大回顧展が開催されており、大きな話題を呼んでいます。

世界中のキュレーターや美術ファンが注目する今回のモネ展、MMFでも早速、多くの方々からのお問い合わせをいただいております。そこで、今月はモネ大回顧展の公式カタログを紹介いたします。


今回、世界中のコレクションから集められた作品の数はおよそ200点。誰もが知る作品から、これまであまり知られていなかった貴重な作品までが一堂に会し、時系列に、そしてテーマに沿って60年以上に及ぶモネの画業を紹介していきます。

その公式カタログである本書は、総ページ数384。日本であれば、展覧会図録としては規格外となりそうなボリュームです。それもそのはず、展覧会の展示作品を網羅していることはもちろん、そのほかの作品も数多く掲載されているのです。展覧会は、最後に来館者をモネの集大成であるオランジュリー美術館へと誘うことで結ばれていますが、本カタログではその冒頭で、オランジュリーに展示されている8点の《睡蓮》を観音開きの大図版で紹介しています。また、展覧会では5点の《ルーアン大聖堂》が紹介されていますが、本カタログではそれに15点が加えられています。《ルーアン大聖堂》の連作は、1895年にデュラン=リュエル画廊の個展で20点まとめて展示されましたが、あたかもその時の個展が紙上に再現されたかのようで壮観です。

もうひとつ、この本を大著たらしめているのが収録されているテキストの数々。モネに関する多くの著作で日本でもよく知られているオルセー美術館学芸員のシルヴィ・パタン氏をはじめとする美術史家による、最新のモネ研究の成果が収められています。巻末には、モネの孫で歴史家・美術批評家のフィリップ・ピゲ氏が「クロード・モネという男」という文章を寄せており、これまであまり見たことのない写真の数々で、モネの素顔に触れることができるのも魅力のひとつでしょう。実に30年ぶりの大規模なモネ回顧展の公式カタログである本書は、この30年で進められたモネ研究の一端を垣間見ることのできるものなのです。 

もちろん、フランス国立美術館連合(RMN)の発行とあって、印刷の美しさは折り紙付きです。ワシントン・ナショナル・ギャラリーとオルセー美術館がそれぞれ所蔵する《日傘の女》が一堂に会し、見慣れた《アイリス》の横に初めて目にする別バージョンが並ぶ──。この豪華な回顧展、そしてモネの美しい世界を、ページを繰るだけでも存分に楽しめる一冊です。