レイモン・ドゥパルドン のフランス

『レイモン・ドゥパルドンのフランス』
La France de Raymond Depardon
著者/レイモン・ドゥパルドン
30.5×27cm/336ページ
フランス語/刊行2010年
本体記載価格/59ユーロ
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ガイドブックにはない“現実のフランス”

毎年秋、パリのアートシーンは写真一色に染まります。2 年に一度の偶数年には「パリ写真月間(Mois de la photo à Paris)」、奇数年には写真のビエンナーレ「フォトケ (Photoquai)」(2011年は9月13日から11月11日まで)といっ た大規模な写真のイベントが開催され、世界中から多くの写真愛好家がパリに詰めかけるのです。その盛り上がりが最高潮に達するのが、今月11月。特に毎年恒例の世界最大級の写真イベント「パリ・フォト(Paris Photo)」(11月10〜13日)が開かれる4日間です。
 そこで、フランスにおける写真文化、その草創期にまつわる書籍を紹介した先月に引き続き、11月は現代フランスを代表する写真家の世界を紐解く一冊をご紹介します。2010年にパリ写真月間とパリ・フォトにちなみ、フランス国立図書館で開催された「レイモン・ドゥパルドンのフランス」展のカタログです。
 レイモン・ドゥパルドン(1942-)は、1960年代に写真通信社「ガンマ」を設立し、1979年にはマグナム・フォト(MAGNUM PHOTO)の正会員となった写真家。フォトジャーナリズムの世界を追求する一方で、近年はアートの世界へと移行しつつあります。本書に収録されているのは、ドゥパルドンが40年にわたって撮りためたフランスの風景の数々。鄙びた洋品店や薄汚れた町工場、海岸沿いの安ホテルといった、けっして絵はがきになることはない風景ばかりです。映像作家としても活躍するドゥパルドンによって切り取られた風景は、見る者にその続きの世界を想像させ、全280点を収めた本書のページをめくっていると、あたかもロードムービーを見ているかのような錯覚を抱かせます。
 ドゥパルドンが見つめたフランスの40年を収めた一冊。ガイドブックにはない“現実のフランス”を探して、ぜひご覧になってみてください。

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