『アニマル』
Animal
10×14.2cm/206ページ
フランス語刊行/2010年
本体記載価格/16ユーロ

2012年最初の「注目の一冊」では、昨年の11月までパリの装飾芸術美術館で開催されていた異色の展覧会「アニマル」のカタログをご紹介します。この展覧会では、鳥や蛇、牛や象、そして身近な犬といった「動物」がモティーフや素材となった服飾や家具、テキスタイル、さらにはポスターや宝飾品400点以上が一堂に会しました。

「動物と仲よくしなさい。そうすればあなたは再び快活になり、何ごともあなたを悩ませることはできないでしょう」とは、かのアインシュタインの言葉ですが、私たち人間にとって動物は古来、心を癒してくれる存在でした。そして、今回の展覧会は、彼らが人間にとって芸術的霊感源でもあったのだということを再認識させてくれるものとなりました

カタログでは、「素材」「形」「象徴」「空想と変容」「人間あるいは獣」といった章に分けて出品作が紹介されています。「素材」の中では、日本でもその独創的な世界観が人気のフランス人デザイナー、カステルバジャックによるテディ・ベアのぬいぐるみをつなぎ合せたコート、同じくフランス人デザイナー、ピエール・バルマンが1977年に発表したオーストリッチのコートとおそろいのヘルメットなど、実にユニークな作品が並びます。また「象徴」の章では、12世紀に作られた獅子と人間をかたどったブロンズの燭台から、ガラス工芸作家ラリックがシトロエンのために制作した鷲のカーマスコット、さらにはベルギーで生まれた人気漫画の主人公タンタンとその相棒のホワイトフォックステリアのミルゥ（スノーウィ）のフィギュアまでが登場。手のひらに収まる手軽なサイズながら、ページを繰るごとに新鮮な驚きに出会える一冊です。