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シャトーブリアンの家―ラ=ヴァレ=オ=ルーマダムの連載の一部(10館)が本になりました。 バックナンバーを読む
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見学コースは1820年に建設された翼へと続きます。ここは生前のシャトーブリアンが目にすることのなかった部分です。サロンは、鳥と竹が描かれた壁紙をはじめ19世紀当時の雰囲気を再現するように修復されています。このサロンではシャトーブリアンの数多くの旅行が紹介されています。色とりどりのエキゾチックな鳥をご覧になってください。さまざまな島から連れて来られた20種類ほどの鳥(ハチクイ、ブロンズミドリカッコウ)の剥製が飾られています。実際、船乗りは海で1年を過ごすごとに鳥を1羽家族へ持って帰るという伝統があるのですよ。

次の部屋では、シャトーブリアンの波乱の政治生活をたどることができます。ピエール=ルイ・ドラヴァル(1790-1881)が描いたシャトーブリアンの肖像(1828年)をよくご覧ください。在ローマ・フランス大使だったときに描かれたもので、フランスの貴族院議員の服にアーミンの毛皮のマントをまとっています。ベルベットとサテン、シルク製のこれと同じ衣裳を着せたマネキンが飾ってあります。入って右側の小さな展示ケースには、シャトーブリアンが在ロンドン・フランス大使だった際にルイ18世から贈られた青と金のセーヴル磁器の食器セットがあります。隣接する小さな書斎には、シャトーブリアンが、自伝『墓の彼方からの回想』の一部、特にブルターニュでの幼少期を書いた机があります。机の上にはフェルディナン・ペロー(1808-1841)の描いた絵《サン=マロの入り江の眺め、雷雨》(1835年)が掛けられていますが、これはシャトーブリアンが嵐の日に生まれたという伝説を暗示しているのです。右手の壁にあるのはユベール・クレルジェ(1808-1899)が描いた重々しいコンブール城の絵です。シャトーブリアンはこの城で、暗く孤独な幼少期の一時期を過ごしましたが、その事実は、彼の陰鬱で憂鬱な性格を説明してくれるのかもしれません。また、シャトーブリアンの自然への情熱を物語るかのように、コンスタン・ブルジョワがスケッチした木の習作(1819年)が何点か飾られています。
今日、シャトーブリアンは、その傑作自伝『墓の彼方からの回想』でとりわけよく知られています。この中で彼は、自らの特異な人生と、時代、恋愛、政治生活、旅、そして自らの立場などを力強く、正確に詳述しています。叙情性と歴史への好みによってフランス・ロマン主義の先駆者となった彼の著作は、過去と現在、そして未来を横断します。このことには、かの有名なド・ゴール将軍(1890-1970)も感嘆を禁じ得ず、シャトーブリアンを「信念を貫く人、偉大な作家、驚異的な夢想家」とみなしていました。

さて、シャトーブリアンの家を出たら、美しい庭を散策しながら、ヴェレダの塔まで行ってみてください。ここはシャトーブリアンの隠れ家で、ここに机を置き、執筆をしていたそうです。
そして、このお手紙の結びとして、皆さまへのちょっとしたアドバイス。かつてのオレンジ温室を美しく装飾した魅力的な小さなサロン・ド・テに立寄り、美味しいお菓子をお召し上がりになってくださいね。

友情を込めて。

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