Français 日本語
シャン=シュル=マルヌ城マダムの連載の一部(10館)が本になりました。 バックナンバーを読む
informations 3 2 1

次に、正面階段を上って2階へと参りましょう。金箔を貼ったブロンズの手摺にはルイ・カーンのイニシャル「LC」のモノグラムがついています。大サロンの真上に位置し、部屋の形もぴったり一緒なのが「音楽のサロン」。ここからは、庭と生け垣の素晴らしい眺めが楽しめます。レオン・ボナ(1833-1922)作のルイの肖像画(1901年)と、エミール・オーギュスト・カロルス=デュラン(1837-1917)作の妻ルイーズの肖像画(1896年)がイーゼルに置かれていて、芸術の庇護者としての彼らの功績を称えています。赤いビロード張りの座り心地の良さそうなソファーと肘掛け椅子をはじめ、家具は摂政期のものからルイ15世時代そして19世紀のものまでさまざまです。暖炉の前にある素晴らしいコンソールテーブルの3つの脚は、ルイ15世のモノグラムである絡み合ったふたつのLで装飾されています。

魅力的な「青の寝室」は、貝やヤシの葉を象った装飾モチーフを彫刻したロカイユ様式の板張りの壁の色にその呼び名の由来があります。四角いモチーフの寄木細工の机、ルイ15世様式からルイ16世様式への移行期(1760-1770年)の優美で洗練された家具はジェラール・ペリディエ(1761年に親方として登録)の手によるものです。寝室に隣接して、青の単色の花や果物で装飾された小さなバスルームがあります。その隣の灰色の化粧漆喰で仕上げられたアルコーヴも小さな居心地の良い寝室になっていて、ここにもバスルームがついています。暖炉の上には、その形から「人形の頭」と呼ばれるユニークな小さい振り子時計がありますが、これは1694年に王の時計職人に任命されたジャック・オーギュスト・テュレの作です。

音楽の間の右手には国王や賓客専用の貴賓室があります。ここには吊り天蓋つきの大きなベッドがあります。ルイ14世様式の贅を尽くしたベッドには、豪華な赤いダマスク織の布が掛かっており、欄干で部屋のほかの部分と区切られています。壁には18世紀のままの黄色い絹地が張られていますが、当時の輝きは少し失われているようです。ベッドの横に小さな扉が隠れていて、ベージュの絹地を張ったバスルームへと行けるようになっています。

書斎に改装された角部屋へと見学を続けていきましょう。ボーヴェ製作所のタピスリーを張ったソファーの上には、ジャン・ノクレ(1615-1672)作とされるルイ14世の幼少期の肖像画が掛けられています。それから夫婦の寝室へと行きましょう。当時夫婦は別々の寝室を使うのが一般的だったため、夫婦共同の寝室というのは非常に新しいものでした。隣にある居心地の良い小さな角部屋はシャルル・カーン・ダンヴェール夫人の浴室で、化粧台とドイツ製の大きな書き物机、魅力的なコーナー家具が置いてあります。化粧室は19世紀末につくられ、近代的な設備が調っています。廊下を通って玄関ホールに戻りましょう。廊下の壁には、風景を表した17世紀18世紀のオービュソン製作所のタピスリーが掛かっています。

シャン=シュル=マルヌ城は、まさにフランス流の優美さの象徴といえましょう。ここには、18世紀の「アール・ド・ヴィーヴル(生活芸術)」の完璧なる例が示されているのです。ほかの建築のモデルになった古典様式の建物はもちろん、オリジナルの素晴らしい室内装飾を保存し、18世紀の類稀なる家具も所有しているのですから。

友情を込めて。

前のページへ    

Update : 2014.10.1

ページトップへ

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。