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ブランクーシのアトリエ─ポンピドー・センターマダムの連載の一部(10館)が本になりました。 バックナンバーを読む
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彼の遺言は、没後40年経ってようやく実現されることとなりました。ブランクーシのアトリエを生前の状態にできるだけ忠実に復元するという任務を託されたのは、ポンピドー・センターを設計した建築家のひとり、レンゾ・ピアノでした。制作と着想の場のくつろいだ雰囲気を保ちつつも、ブランクーシが夢見ていたような神殿をイメージさせる長方形の建物を建築しました。空間全体が、オリジナルの大きさや向きも含めて忠実に復元されました。ガラス張りの大屋根と小さな中庭に面したガラス張りの大きな扉から、光がふんだんに入ります。幅の広い通路を通って、4つのアトリエを見て回ることができます。それぞれのアトリエの前にはベンチがあり、大きなガラス越しにたくさんの作品をひとつひとつ発見してゆくことができます。アトリエには、習作も完成作もあり、さまざまな大きさの作品があります。そして台座、家具、道具、復元の際に参照した写真なども置かれています。

最初のアトリエに続くふたつ目のアトリエではブランクーシの主要なテーマを発見できます。かの有名な《接吻》(1923-1925年)は、1923年から1936年の間にブランクーシ自身が彫刻した樫の戸口と《空間の中の鳥》(1941年)に挟まれた奥に位置しており、じっくりと鑑賞しづらいかもしれません。《接吻》は、横から見た二体の上半身を小さな石の塊に直接彫ったもので、ロダンとブランクーシの断絶を表す重要な作品です。ブランクーシは、あらかじめ習作を作らずに、石や木といった素材を活かして作品を彫りました。《接吻》のモチーフは、アトリエの隅にある《接吻の円柱》(1930-1932年頃)の上部にも見られます。これは、ある教会堂のために作られた石膏の習作ですが、結局実現しませんでした。《接吻》から近いところに置かれている《眠るミューズ》(1909-1910年)は、15年間にわたってブランクーシが繰り返し取り上げたお気に入りのテーマです。このテーマでいくつかのバージョンを制作し、5点をブロンズで鋳造しています。滑らかな卵形をした女性の素晴らしい顔が横たえられていて、静寂と完全な休息を表現しています。ブランクーシは、いくつかの簡単な線によって女性の肖像の純粋さと普遍的な美しさを賛えているのです。

彫刻を記念碑的な大きさに拡大し、屋外に設置することを長らく夢見ていたブランクーシは、ふたつの彫刻をアトリエの両側に展示しています。垂直性は彼にとって、精神的な次元と永遠への憧れの表れなのです。右側には、さまざまな大きさの木と石膏でできた、《終わりのない円柱》(1928-1931年)が4点、空に向かってすらりと伸びています。左手には4点の《大きな雄鶏》(1924-1952年)が東向きに置かれており、空間に厳かな影を落としています。最後のバージョンは4メートル85センチもの高さがあり、見る者を圧倒します。

円柱の近く、赤いパネルの前で目を引くのが優美な《空間の中の鳥》です。磨き込まれた金色のブロンズで、石とオニキスの台座の上に載っています。素晴らしく演出された様は、今にも発射せんとするロケットのように見えます。飛翔の瞬間を再現しようとしたブランクーシは、1914年から1920年の間に29体の鳥を制作しています。
完璧な卵形をしたふたつの小さな顔は、眠っている子どもの顔を思わせます。ひとつは白大理石(1908年頃)、もうひとつは黒い石(1921年頃)でできていて、大きな樫の肘掛け椅子(1918年)に置かれています。

Update : 2015.2.1

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