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階段の上、左手には、国王の居室があります。イタリアの宮殿のような丸天井があるため「イタリア式居室」とも呼ばれるこのエリアは、在りし日のままの姿を留めていますが、中でも見逃せないのは、音楽の大広間でしょう。ここには、音楽家たちのためのトリビューン(階上廊)が残されているのです。また、ジャン=ヴィクトール・ベルタン(1767-1842)とジャン=ジョゼフ=グザヴィエ・ビドー(1758-1856)によるイタリアを描いた6点の風景画もお見逃しになりませんように。いずれも、ジャック・ラフィットの注文によるものだということです。

広間の奥にはアーチ型の開口部があり、次の「ヘラクレスの間」へと続いています。ここには17世紀につくられたジル・ゲラン作の重厚な暖炉があり、メダイヨンには、イアサント・リゴー(1659-1743)作のルイ14世の肖像の模写があります。国王の寝室には、天蓋のあるベッドが置かれたアルコーヴがあり、丸天井に格子状の寄せ木の床と、まるで劇場の舞台のようです。家具はルイ14世様式を思わせます。

大きな個室を通って、愛らしい小さな円形の部屋へと参りましょう。鏡の備え付けられたこの部屋はとても洗練された、そして親密な雰囲気に満ちた空間で、談話室として使われていました。内装は当時のままで、エキゾチックな木材を使った寄木張りの床は、バラの木に骨と錫が埋め込まれています。壁の下部には、ルネのRと妻マドレーヌのMを組み合わせた花文字が書かれています。丸天井はミッシェル・コルネイユ(1601-1664)が描いた絵画で装飾されています。

階段の右手には、ランヌ元帥の寝室があり、帝政様式の装飾が施され、高級家具職人フランソワ・オノレ・ジョルジュ・ジャコブ(1770-1841)による、金箔を施した木製の椅子が4脚置かれています。

さて、最後にふたたび1階へ戻り、階段の右手からアルトワ伯の居室へと参りましょう。新古典主義様式の食堂にはニッチ(壁龕)があり、四季を連想させる神々の彫像が置かれています。フークー(1739-1815)作のフローラは春、ボワゾ(1743-1809)作のポモナは夏……。格天井と扉の上に刻まれた名声の神々と暖炉の周りの牧神は、ベランジェとユイリエの作品です。
地下には小さなミュゼがあり、このメゾンの代々の所有者が、競馬の歴史において果たしてきた役割を説明するショートフィルムを見ることができます。

一般的な観光では忘れられがちですが、メゾン城はフランス建築の古典主義期の幕開けを示す重要な作品です。ヴォー=ル=ヴィコントやヴェルサイユといった名高い城のモデルともなりました。そして、近年には中国の資産家が、北京近郊数キロのところにこの城のレプリカを建築させるなど、その魅力は現在もなお、色あせていないのです。

もし少し時間に余裕がありましたら、近くの名高い競馬場へも足を延ばされることをおすすめいたします。

友情を込めて。

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Update : 2017.10.1

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