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中央のロトンドから納骨所へは小さな通路が伸びています。それぞれの扉にローマ数字で番号と、中に葬られている人の名前が書いてあります。中央廊下のブロンズ製プレートは1830年と1848年の革命の犠牲者の栄誉を讃え、右の回廊の4つの納骨所にはポルタリやトロンシェら民法典の執筆にあたった帝政期の高官が葬られています。左の回廊のXXIV番の納骨所にはヴィクトル・ユゴーや1906年に埋葬されたエミール・ゾラなどの文豪が眠っています。また、XXVI番はヴィクトル・シュルシェールのもの。フランスにおける奴隷制を廃止する1848年4月27日の政令を先導したシュルシェールは、奴隷制廃止100周年の折にここに移送されました。

ロトンドに戻り、今度は左側へと行ってみましょう。こちら側には第五共和政下に栄誉を称えられた人々が眠っています。とりわけ、第二次世界大戦中のレジスタンスの英雄たち、ジャン・ムーランや強制収容所に送られたふたりの女性運動家ジュヌヴィエーヴ・ド・ゴール・アントニオとジェルメール・ティリオンがいます。碑文はドイツ占領下において自分の命をかけてユダヤ人を助けた「フランスの正義の人たち」を讃えています。また、ド・ゴール将軍政権下で最初の文化大臣をつとめた著名な作家アンドレ・マルローの墓や、放射性物質を発見した物理学者ピエールとマリー・キュリーの墓があります。キュリー夫妻は1955年にVIII番の納骨所に移送されました。最も新しくパンテオンに祀られたのは、2018年7月に棺が移送されたシモーヌ・ヴェイユとその夫です。フェミニスムを象徴する人物でもあるシモーヌ・ヴェイユは、強制収容所からの生還者で、妊娠人工中絶の合法化のために闘ったことで知られる人物で、パンテオン入りを果たした5人目の女性です。公式な式典のもと、パンテオンに祀られる人物を選ぶのは共和国大統領(現在はマクロン氏)の役割です。パンテオンは今なお国家の記憶の場として生き続けているのです。パンテオンは、建築という観点からも歴史的な観点からも訪れる価値のある場所なのです。

最後に、皆さまにちょっとしたおすすめをひとつ。パンテオンを訪れたら、206段ある階段を柱廊まで登ってみてください。パリを見渡す素晴らしい眺望をお楽しみいただけますから。ただし、毎年4月1日から10月31日までの期間限定ですのでご注意を!

友情を込めて。

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Update : 2020.2.3

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