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レジオン・ドヌール勲章博物館マダムの連載の一部(10館)は書籍でもお楽しみいただけます。 バックナンバーを読む
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Chers amis,親愛なる日本の皆さまへ

本日は皆さまを、知る人ぞ知るミュゼへとご案内いたしましょう。オルセー美術館の向かいにありながら、ほとんど知られていないそのミュゼとは、レジオン・ドヌール勲章博物館。18世紀に建設され、現在ではレジオン・ドヌール館となっている瀟洒な邸宅サルム(訳注:ドイツ語読みはザルム)館の一翼にあります。ふたつの帝政、ふたつの王政、そして4つの共和政──つまり、2世紀以上の長きにわたって、その名と役割が変わらぬ珍しい国有建築物でもあります。

博物館では、レジオン・ドヌールの歴史をその起源から詳しく紐解いていきます。レジオン・ドヌールとは、民間および軍隊の活動において国に貢献した個人の功績に報いることを目的に、フランス革命の後、ナポレオン・ボナパルト(1769-1821)によって創設された最初の国の勲章です。いくつもの政治体制を経て、今もなお、フランスにおける最大の栄誉であり続けています。コレクションはとても充実したもので、フランスはもちろん外国の勲章や、数多くの美術品も展示しています。皇帝ナポレオン1世のファンにとっては、ナポレオン旧蔵の品々を見られる場ともなっています。

ミュゼに入る前に、建築家ピエール・ルソー(1751-1829)が建てた名高いサルム館の写真をじっくりとご覧ください。この館の主、フリードリヒ・ツー・ザルム=キルブルク(1745-1794)はドイツの公爵でしたが、革命期に49歳でギロチンにかけられてしまいます。サルム館は国有財産のリストに掲載されましたが、その後公爵の借金を返済できるように遺族に返還されました。1804年、レジオン・ドヌール名誉軍団総裁のラセペード伯爵が、ここをレジオン・ドヌール勲位局に制定。ここでは、現在でも国の主要な勲章制度(レジオン・ドヌール、国家功労章、軍功章)が管理されているのです。1871年のパリ・コミューンの際には火災に見舞われますが、レジオン・ドヌール勲章佩用者と軍功労者たちの寄付によって再建されました。そして1925年、レジオン・ドヌール名誉軍団総裁で、第一次世界大戦(1914-1918年)の英雄デュバイユ将軍の主導で、戦争で活躍したフランス人と外国人に敬意を表するため、レジオン・ドヌール勲章博物館が創設されたのです。

サルム館は、新古典主義様式の均整のとれた建築が魅力です。リール通りに面したファサードには列柱がリズミカルに並び、凱旋門の形をした入り口があります。セーヌ河側には庭が広がります。ファサードには、ジャン=ギヨーム・モワット(1747-1810)の下絵にもとづいてつくられたオリュンポスの神々(ユピテル、マルス、アポロン、ミネルウァ、ディアーナ、ケレース)の6体の彫像で飾られた丸屋根のある円形の建物があります。これらの彫刻は、1956年に複製に置き換えられました。この館に着想を得た建物は海外にもあり、中でもアメリカ合衆国第3代大統領トーマス・ジェファーソンの住居はその好例として知られています。

Update : 2020.6.1

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