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レジオン・ドヌール勲章博物館マダムの連載の一部(10館)は書籍でもお楽しみいただけます。バックナンバーを読む
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展示室の中央には、勲章の普遍性を象徴する3つの首飾りがあります。皇帝が身につけていた首飾りは、マルタン=ギヨーム・ビエネ(1764-1843)によって1805年頃制作された金銀細工品の傑作。鎖の輪と鷲が交互に描かれ、その上にレジオン・ドヌールの星があります。第三共和政下では、共和国大統領のみが受け取ることのできる新しい宝飾品が作られました。現在の首飾りは、1953年制作のもので、大統領着任時にレジオン・ドヌール名誉軍団総裁より授けられました。中央には、レジオン・ドヌールの受勲者たちの標語「栄誉(Honneur)と祖国(Patrie)」の頭文字HPでできたモチーフがあり、そこに十文字が下がっています。

展示室の奥では、ロベール・ルフェーヴル(1755-1830)作《聖別式の衣装を着た皇帝ナポレオン1世》が堂々たる存在感を放っています。ローマ王となったナポレオンの息子(1811-1832)が所有していたレジオン・ドヌールの小さな記章と、皇帝がエルバ島に亡命していた際の記章を目にするとは、なんと感動的なことでしょうか。マルタン=ギヨーム・ビエネによる《皇帝の剣》をご覧ください。これは1808年ロシアの皇帝アレクサンドル1世に贈られました。アドルフ・イヴォン(1817-1893)の絵画は、1808年のサロン(官展)で皇帝が芸術家たちに勲章を授けている場面を描いたものですが、これはヴェルサイユ宮殿に保管されているグロ男爵の未完の絵画がもとになっています。

驚異の部屋(キャビネ・ド・キュリオジテ)として設計された次の大きな展示室は、外国の勲章のための部屋です。初めは、ヨーロッパの勲章です。イギリスでは百年戦争当初の1348年、有名なガーター勲章が創設されました。ガーター騎士団はそれ以来その規約を変えておらず、25人のメンバーしかいません。世界で最も閉鎖的な勲章システムなのです。ニコラ=ルイ=フランソワ・ゴス(1787-1878)作の絵画には、19世紀、ウィンザー城を舞台にした《ヴィクトリア女王からガーター勲章を受け取る国王ルイ=フィリップ》が描かれています。レジオン・ドヌール勲章博物館では、この時の首飾り、メダル、そして印璽を所蔵しています。

カール5世(1500-1558)によって創設されたスペイン王国の第一の勲章は金羊毛騎士団勲章です。展示ケースには、2012年、共和国大統領ニコラ・サルコジが、スペイン国王フアン・カルロス1世から受け取った金羊毛騎士団の首飾りが飾られています。

ヨーロッパ以外の国々における勲章制度は、19世紀にヨーロッパのモデルに倣って、とりわけオスマン帝国、シャム王国、大日本帝国といった国々で発展しました。大日本帝国では、民間人と軍人の功績に報いる旭日章が創設されますが、レジオン・ドヌール総裁のノレ将軍(1865-1941)も受勲しています。その箱は帝国を象徴する桐花紋で装飾されています。

美術館の3階は、軍功章と国家功労章にあてられています。1852年1月22日の政令によって創設された軍功章から見て参りましょう。これは兵士や下士官を褒賞するためのものです。連合国軍総司令官のフォッシュ元帥(1851-1929)は例外的に最高位の褒章としてこれを授けられました。軍功章はとりわけふたつの大戦における功績を讃えるという意味合いが強いのです。ユジェーヌ・ビュルノー(1850-1921)による軍功章を身につけた兵士たちの一連の肖像画は、第一次大戦中、連合国軍の一員として戦った兵士たちの民族の多様性を表しています。

国家功労章は、1963年にド・ゴール将軍によって創設されました。ド・ゴール将軍の白い彫像が青い壁を背景に引き立っています。その右手には大統領専用車のロレーヌ十字のついた小旗があります。国家功労章は、あらゆる職種の人の功績に報いる、レジオン・ドヌールに次ぐ二番目の国家の褒章で、職務に就いていた期間がより短い人も対象となります。記章は六角の星で、リボンはブルーです。

伝統的な内容を現代的な手法で見せてくれるこのミュゼは、勲章の歴史、そして受勲した人々の歴史に新たな命を吹き込んでいるのです。

友情を込めて。

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Update : 2020.6.1

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