Français 日本語
ブザンソン美術・考古学博物館マダムの連載の一部(10館)は書籍でもお楽しみいただけます。バックナンバーを読む
informations 3 2 1

19世紀の絵画と彫刻のコレクションは、大きな展示室にまとめられ、サロンでの展示を想起させるかのように、頭上に照明が設置されています。1835年のサロンに出品されたジャン・ジグー(1806-1894)の巨大なカンバス画は《レオナルド・ダ・ヴィンチの最期》(1835年)。レオナルドが非常に弱々しい状態で、フランス国王フランソワ1世に支えられた様子が描かれています。この絵は、中世文化やトルバドゥール様式への回帰といった当時の趣味とも合致して、とても人気がありました。その向かいの壁には、クールベ(1819-1877)による大作《雄鹿の最期》(1867年)があり、残酷な狩猟の場面が、幅5mもの大画面いっぱいにリアルな描写で描かれています。画面右側にはひと目でそれとわかるふたりの村人がいて、傷ついた牡鹿は雪の上に横たわり、猟犬の群れに囲まれて死を待つばかりです。その右側には、ダヴィッド(1748-1825)、ゴヤ(1746-1828)、アングル(1780-1867)、ジェリコー(1791-1824)の作品が並んでいます。ジェリコーの《東洋人としての男の肖像(ムスタファの肖像)》(1817-1819年頃)は、布地の豪華さが示すように、画家にとっての東洋の魅力を物語る作品です。

見学の締めくくりは、20世紀前半の優れた作品からなるベッソン・コレクションです。新印象派のリーダーであるシニャック(1863-1935)の《黄色いヨット》(1904年)は、並置された小さなタッチが、光のゆらめきを感じさせる作品。《ナポリの港》(1909年)をはじめとするマルケ(1875-1947)の絵画は、港や水の動きに魅せられた画家の姿を彷彿とさせます。ボナールの主要作品2点もお見逃しなく。《クリシー広場》(1912年)は、カフェからの観察者の目線で描かれた作品ですが、なんと活気溢れる光景でしょうか。一方の《プティ=プセのカフェ》(1928年)は、オレンジ色を基調としたカフェ店内、夜の静かな情景が表されています。コレクターのベッソンは、《クリシー広場》を入手したのち、自らのアパルトマンを飾るために、その対になる作品を画家に依頼したのですが、完成したのは16年後のこと。それが、この《プティ=プセのカフェ》だったのです。

最後のスロープは、知る人ぞ知る画家シャルル・ラピック(1898-1988)に捧げられています。ラピックは、《燃えるような茂み》(1971年)のように、非常に鮮やかな色彩を平塗りした作品を描いた画家でした。

この美術館には6,000枚以上のデッサンを収めた重要なグラフィックアート収蔵室があり、研究者や愛好家は予約制で見学をすることができます。

ブザンソン美術・考古学博物館は、この地方で最も美しく最も豊かなコレクションを有するミュゼのひとつ。ふたつの非常に異なる建築物が対話をするように並ぶ構造から生み出された独創的な見学路もその魅力となっています。

そして、せっかくブザンソンを訪れるならば、ミュゼからおよそ35kmの場所にある18世紀の「アルク・エ・スナン王立製塩所」も見学なさってはいかがでしょう。11の素晴らしい建物からなるこの貴重な産業建築は、ルイ15世の建築家ニコラ・ルドゥー(1736-1806)による傑作で、ユネスコの世界遺産に登録されています。ここでは毎年、「ガーデン・フェスティバル」や音楽イベントが開催されているのですよ。そして、この魅惑的な場所を心ゆくまで楽しみ、夕暮れ時のライトアップをご覧になりたい方のために、素晴らしいホテルも用意されています。

友情を込めて。

前のページへ    

Update : 2021.11.4

ページトップへ

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。