▲企画展のスタートを切る「黄色の展示室」。 © Michiko HYUGA 　セレ近代美術館では、毎年2回重要な展覧会が企画されています。毎年、多くの人々の熱い視線が注がれる企画展ですが、夏の企画展はとくに人気で、その展示を楽しむために、セレをヴァカンスの地に決める人も少なくないほどです。 　2008年の夏の展覧会として、現在開催されているのが「ハンガリーのフォーヴ1904年-1914年」展です。ハンガリーのフォーヴは、近年まで美術史から忘れ去られた存在でしたが、2006年ハンガリーで開催された展覧会を機に、その重要性が取り上げられるようになりました。 　今夏の展覧会では、25人のハンガリー人画家の作品160点を、黄色、薄紫色、ベージュ、水色、緑色、灰色、青色、赤色という8つのテーマカラーに分けて展示しています。それは色彩による表現を徹底的に追い求めた、フォーヴのアーティストにぴったりの展示方法でしょう。 　展示はまず黄色い展示室からスタートします。19世紀後半、ハンガリー美術の中心地だったナジバーニャに集った若者たちの間で芽吹き始めたフォーヴへの関心は、やがてマティスらの模倣を乗り越え、独自の展開を見せていきます。この展示室では、パリのアカデミー・ジュリアンで学びながら、新しい美術の潮流フォーヴの洗礼を受けることになったハンガリー人画家ベラ・ゾベル（Béla Czóbel）らの作品を見ることができます。ゾベルは、のちにフォーヴィスムと名付けられる由縁となった、名高い1905年の秋のサロン・ドートンヌにも作品を出品している画家の一人です。 　また展覧会の最後を飾る「赤色の展示室」は、独特の絵画スタイルを生み出した貴重なハンガリー人画家の一人であるジョゼフ・リプル＝ロナイ（József Rippl-Rónai）に捧げられています。 ▲黄色の展示室で見られるベラ・ゾベル≪Peintres à la campagne≫。 1906, Huile sur toile 79 x 79,5 cm, Paris Centre Pompidou, Musée national d'art moderne / Centre de création industrielle © Photo CNAC/MNAM, Dist. RMN/ © Philippe Migeat 彼は、フランス滞在中にナビ派の芸術家たちと交流を深め、当時流行していたアール・ヌーヴォーの象徴性や洗練されたエレガンスをハンガリーに紹介した功労者でもあります。 　フランスに学び、さらに独自の視点とオリジナリティーを模索していったハンガリーのフォーヴィストたちが歩んだ道のりを「黄色の展示室」から「赤色の展示室」までの、色彩あふれる空間を辿りながら体感することができる上質な展覧会です。 ▲自画像や肖像画が見られる青の展示室。 © Michiko HYUGA ▲展覧会の最後を飾る赤の展示室に飾られているジョゼフ・リプル＝ロナイ≪L'Atelier de Kaposvár≫。 1911 Huile sur carton 48 x 67,5 cm, Kaposvár (Hongrie), Rippl-Rónai Múzeum © photo Galerie Nationale Hongroise 取材：日向倫子（Michiko HYUGA） ■ URL http://www.musee-ceret.com ■ 所在地 8, Boulevard Maréchal Joffre - B.P. 60413 - 66403 CERET CEDEX ■ Tel 33 (0)4 68 87 27 76 ■ Fax 33 (0)4 68 87 31 92 ■ 開館時間 10 :00〜19 :00 ■ 休館日 10月1日〜4月30日：火曜日 上記以外の期間は無休 ■ 入館料 一般 :8ユーロ 割引料金:6ユーロ ※常設展・企画展共通 ※12歳以下は無料 ■ アクセス ペルピニャン（ Perpignan）より高速バスで約40分。 「ハンガリーのフォーヴ 1904〜1914」 ■ セレ近代美術館 会期：2008.6.20〜2008.10.12 http://www.museeceret.com/ mam/exposition.php?expo= 119&npage=1 ■ マティス美術館 （ル・カトー・カンブレジ） 会期：2008.10.25〜2009.2.22 http://www.tourisme-cambresis.fr/page-11611-exposition-fauves-hongrois-1904-1914.html ■ ディジョン美術館 会期：2009.3.13〜2009.6.15 http://www.dijon.fr/sortir/les-musees.php ※ 「ハンガリーのフォーヴ1904-1914」は、上記3つの美術館で開催される巡回展です。

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