モーリス・ラヴェル博物館
  ランブイエの森にほど近いモンフォール・ラモリーという小さな街。
フランスの有名な作曲家、モーリス・ラヴェルはこの地で晩年までの16年間を
過ごしました。ラヴェルの暮らした家が当時のまま保存され、
彼のコレクションと共に公開されているのがこのモーリス・ラヴェル博物館です。
© Yoko Masuda  
ラヴェルの暮らした街 モンフォール・ラモリー ベルヴェデール 展望台と言う名の家 ユニヴェール・ラヴェリアン ラヴェルの世界
モーリス・ラヴェル博物館
中世の面影を残す石畳の小さな街
 パリから西へ45kmほどの場所に位置するモンフォール・ラモリーは、市内に中世の街並みを残す小さくとも趣きのある街です。石畳で覆われた細い道を散策しながら街の中心までやって来ると、そこには15世紀から16世紀にかけてアンヌ・ド・ブルターニュによって再建されたサン・ピエール教会が建っています。37枚ある教会のステンドグラスにはフランスで最初の例とされる青と紫のエナメルが使用されており、教会内を美しく彩っています。教会付近には、ラヴェルが街を訪れた友人をよく連れ出したという珍しい造りの墓地があります。
 サン・ピエール教会の再建と同時代に建てられたもので、修道院を思わせる回廊があるのが特徴です。そして街を見下ろすようにして建つ丘の上の廃墟の塔は、もともとは11世紀に造られた城砦でした。百年戦争の際、一度廃墟となり、15世紀にアンヌ・ド・ブルターニュが再建しますが、それも後に破壊されてしまい現在の姿となっています。ラヴェルの家は緑に囲まれたこの城跡のすぐそばにあります。
▲街の中心に建つサン・ピエール教会。
© Yoko Masuda
▲墓地を囲む回廊
© Yoko Masuda
▲モーリス・ラヴェル、1912年。
© Public Domain
 モーリス・ラヴェルは1921年から晩年の1937年までをこの地で過ごし、数々の名曲を残しました。モデスト・ムソルグスキーの「展覧会の絵」のオーケストレーションや、ラヴェルの最も代表的な曲であると言える「ボレロ」もこのモンフォール・ラモリーで創作された作品です。
 ラヴェルがこの地に移り住むきっかけとなったのは、1917年の母親の死と彼の弟の結婚による孤独感でした。この頃ラヴェルは華やかな社交の場であり、さまざまな誘惑のあるパリから距離を置きたいと考え始めます。知り合いに頼むなどしながらパリ近郊の家を探し、そうして見つけたのがこの静かで平穏な街モンフォール・ラモリーの邸宅でした。仕事のための静寂を求めながらも、適度に友人との交流も必要としていたラヴェルにとって、パリからそう遠くないモンフォール・ラモリーはバランスのとれた理想的な土地だったのです。
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文・写真:
増田葉子(Yoko Masuda)
著者プロフィール:
明治大学文学部史学地理学科卒業後、パリ第4大学(ソルボンヌ大学)で美術史学を専攻し、修士課程修了。現在同大学美術史学博士課程。専門は19世紀後半の装飾美術、主にジャポニスム。


URL
http://www.ville-montfort-l-amaury.fr
所在地
5, rue Maurice Ravel, 78490 Montfort l'Amaury
Tel
33(0)1 34 86 00 89
(ラヴェル博物館・開館日のみ)
33(0)1 34 86 87 96
(モンフォール・ラモリー観光案内所・毎日)
Fax
33(0)1 34 86 87 96
開館時間
水曜、木曜、金曜/14 :30、15 :30、 16 :30
土曜、日曜/10 :00、11 :00、
14 :30、 15 :30、 16 :30
*ガイド付見学のみ、最大7名まで(要予約)
休館日
月曜、火曜
入館料
一般:7ユーロ
18歳以下:3.7ユーロ
アクセス
パリ、モンパルナス(Montparnasse)駅より電車で約40分、モンフォール・ラモリー・メレ(Montfort l'Amaury-Méré)駅下車。駅より徒歩45分、平日は駅よりバス有り。
ラヴェルの暮らした街 モンフォール・ラモリー ベルヴェデール 展望台と言う名の家 ユニヴェール・ラヴェリアン ラヴェルの世界

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