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  • 屋根裏で発見された 日本の蒔絵

ブル王立修道院付属美術館

旧修道院内の 絵画・彫刻コレクション

変わらぬ瞑想の場

▲中央にかつての井戸がある第三回廊
©musée du monastère royal de Brou

 美術館に入るとすぐに緑の中庭が私たちを迎えてくれます。ここは、マルグリットが教会堂を建設するのとほぼ時期を同じくして造られた修道院の第一回廊にあたります。修道院は1512年に完成し、教会堂内に埋葬されたフィリベルト2世に祈りを捧げるために修道士たちが居住していました。修道院には第三回廊まであり、それぞれ2階建ての構造になっています。建設当初から、3つの回廊には異なる役割が与えられていました。第一回廊は俗世から修道院の聖域への入り口、第二回廊は修道士たちの瞑想の場、第三回廊は中央に井戸があり、周囲には台所が備えられていたことから修道士たちが日常生活を営む場所とされていました。今日では、この空間では年間を通じてさまざまな活動が行われるほか、現代作家を招いて聖なる空間をテーマにした作品の展示などが行われています。市の中心から少し離れているせいか、今なお静寂が保たれ、季節の植物が訪れる人々の目を楽しませてくれます。

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かつての修道院が美術館に

▲絵画展示室。フランスの伝統的な梁と現代的なミュゼオグラフィーのコントラストが印象的。   ▲彫刻展示室。現在では教会堂のファサードの彫刻は、保全のために忠実に再現されたレプリカとなっており、中世の彫刻群はこの展示室で見ることができる。

 第二回廊から繋がる階段を上がると、かつての修道士たちの独居房へ辿り着きます。

 ここに美術館が誕生したのは1922年のこと。1854年に寄贈された地元の重要な美術コレクターのロラン(Rolland)家のコレクションが中心となりました。現在、コレクションの内容は多岐にわたり、15世紀から19世紀までのフランドル・イタリア・フランス絵画、さらにはフランスの現代作家の作品までが揃い、西洋絵画の歴史を一望することができます。

絵画コレクションの傑作群

 絵画コレクションの多くはロラン家から寄贈されたものですが、1970年以降、マルグリットと関わりの深い作品を中心に購入を進めたことにより、15世紀から17世紀のフランドル絵画の豊かなコレクションも揃うことになりました。特に、1518年よりマルグリットの宮廷画家であったベルナール・ヴァン・オルレー(Bernard Van Orley)については肖像画や宗教画、タピスリーの下絵などがあり、この画家の多岐にわたる活動を伺い知ることができます。

 また、17世紀フランス絵画コレクションは、近年研究が盛んなカラヴァジスム*の巨匠ギィ・フランソワ(Guy François)の作品を所蔵するフランス国内でも数少ないコレクションのひとつです。中でも《聖母子》は、彼の作品群の中でも非常に完成度の高いものといえるでしょう。絵画コレクションの中でも特に充実しているのが19世紀コレクションです。19世紀初頭に多く描かれた「トルバドゥール」絵画は、リヨンのブルジョワジーたちの間で大変な人気を得ました。トルバドゥール(Troubadour)とは、中世フランスの愛の詩を得意とした詩人からその名をとり、今日ではフランス宮廷の歴史から発想を得た逸話的な絵画を指します。19世紀の画家たちは、このような宮廷の小さな物語を描くことで革命以前の王家を夢見たのでしょう。非常に幻想的で詩的な作品群は今日においても私たちを中世のフランス宮廷の世界へと誘ってくれます。


*カラヴァジスム …
イタリアの巨匠カラヴァッジョの画風である陰影の強調、場面の劇的描写などに影響を強く受けた作品を指す用語。
▲ベルナール・ヴァン・オルレーによる神聖ローマ皇帝カール5世 (Karl X/左)とマルグリット(右)の肖像。フランドルの画家らしい緻密な人物描写が特徴。
©musée du monastère royal de Brou
▲ローラン・ジャン=アントワヌ(Laurent Jean-Antoine)《ろばの皮》。トルバドゥール絵画は、童話などからも発想を得たものが多い。この作品は、17世紀の詩人で、『赤ずきん』や『長靴をはいた猫』などで知られるフランス人作家シャルル・ペロー(Charles Perrault)の作品を主題としている。
© RMN photo - Jean Schormans
▲ギュスターヴ・ドレ(Gustave Doré)《第九圏の地獄におけるダンテとウェルギリウス》。ダンテ(Dante Alichieri)の『神曲』の一場面を描いたこの作品は、横4.5m、縦3.5m。その巨大なカンヴァスで観る者を作品の世界へと誘う。
©musée du monastère royal de Brou
Update :2010.7.1
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ブル王立修道院付属美術館

  • 所在地
    63 boulevard de Brou 01000 Bourg-en-Bresse
  • Tel
    +33(0)4 74 22 83 83
  • Fax
    +33(0)4 74 24 76 70
  • E-mail
    musee.de.brou@bourgenbresse.fr
  • URL
    www.bourgenbresse.fr
    www.brou.monuments-nationaux.fr/
  • 開館時間
    <4月1日〜6月30日>
    9:00-12:30、14:00-18:00
    <7月1日〜9月30日>
    9:00-18 :00
    <10月1日〜3月31日>
    9:00-12:00、14:00-17:00
  • 休館日
    1月1日、5月1日、11月1日、
    11月11日、12月25日
  • 入館料
    一般:7ユーロ
    割引料金:4.5ユーロ
    団体(20人以上):5.5ユーロ
    *18歳未満、身障者、ブル友の会会員は無料。
  • アクセス
    電車:パリ、モンパルナス(Montparnasse)駅からジュネーブ・アヌシー方面のTGVで約1時間50分。ブール=カン=ブレス(Bourg-en-Bresse)駅下車。

    高速道路:ディジョン・ブザンソン・ストラスブール方面よりA39(出口7番)。マコン・ジュネーブ方面よりA40 (出口7番)、リヨン方面よりA42(出口7番)。

MMFで出会えるブル王立修道院付属美術館

  • インフォメーション・センターでは、ブル王立修道院付属美術館の図録や「L'or du Japon 日本の至宝―フランスパブリックコレクション所蔵 南蛮漆器から江戸蒔絵まで」のカタログを閲覧いただけます。
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