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  狩猟自然博物館  
 
▲絵画の飾られた「犬の間」。
©Musée de la Chasse et de la Nature /photo E. Le Marchand
さあ、次は床についた犬の足跡を辿って「犬の間」へと参りましょうか。足跡に導かれるままに進んでゆくと、途中、人間が手にしたもっとも崇高なる生き物である「馬の間」を通ります。ここには、すばらしい鞍を作ることで世界的にも有名なエルメス社の馬のマネキンが飾られています。

「犬の間」は食堂になっていて、床は白と黒の市松模様のタイル張り、壁は板張り、そしてフランソワ・デポルト(1661-1743)がデザインしたコンソールテーブルが置かれています。ストラスブールのファイアンス陶器で作られたストーブの上には、18世紀の磁器を思わせる犬の置物が飾られていますが、それは、アメリカの現代アーティスト、ジェフ・クーンズの作品です。この部屋で絵画を見ていて、わたくしはひとつのことに気づかされました。犬は単に猟のために動物であるだけでなく、人間の友なのです。フランス国王ルイ14世(1638-1715)などは、フランソワ・デポルトに愛犬の肖像画を描かせたほどですから。
18世紀、ジャン・バティスト・ウードリーは《子犬にミルクを飲ませるリス》という作品に、子犬たちの世話をやく一匹の母犬の姿を描きました。きっと、動物にもわたくしたちと同じように愛情があることを伝えたかったのでしょうね。
   
   
「鳥の間」を抜けると「剥製動物の間」。おそらく、このミュゼのなかでもっとも印象的な部屋でしょうね。剥製とは動物に対する人間の勝利を表すもの。本物と見まがうばかりの二頭の豹のようにアフリカから持ち込まれた剥製もあれば、アジアやアメリカ、ヨーロッパから来たものもあります。剥製の動物たちはまるで生きているかのように見えるので、子どもたちはきっと大喜びするでしょうね。部屋をぐるりと囲んで置かれた動物たちは、みんなでおしゃべりを楽しんでいるようにも見えます。なかにはアルビノの猪といったちょっと変わったものもいて、来館者に語りかけてきます。
▲「剥製の間」。
©Musée de la Chasse et de la Nature /photo E. Le Marchand
▲ゲネゴー館の奥にある「青のサロン」。
©Musée de la Chasse et de la Nature /photo E. Le Marchand
ガラスケースの中には、たくさんの武器が飾られていて、なかにはナポレオン一世が所有していたものもありました。そう、ここは世界でもっとも美しい武器コレクションのひとつを所蔵するミュゼなのです。コレクションは、樫材で作られた見事な調度品に収められていますから、引き出しをひとつひとつ開けてご覧になってみてくださいね。また、武器の機能についてとても分かりやすく説明をしてくれる短編ビデオの放映もあります。

ゲネゴー館を奥へ進んでゆくと、そこは裕福な芸術愛好家の住まい。暖炉や寄木張りの床、シャンデリアがあり、ジャクリーヌとソメールが思い描いたままの雰囲気が残されています。ひと続きになった3つのサロンは豪華で洗練されているうえに、そこに飾られたものはどれも魅力的で、わたくしは思わずため息をもらしたほど。

   
「青のサロン」に入ると、小さな狐が椅子の上で丸くなり、なんとも心地よさそうにお昼寝中ではありませんか。また、扉の上部には、フランソワ・デポルトが描いた異国の動物の装飾が施されていますので、是非、ご覧ください。
お隣は、壁を赤いビロードで覆われた大きなサロン。中央にある丸い椅子に腰を下ろして、ビロードの傑作とも呼べるこのお部屋全体をぐるっと見回してみてください。シャルダンの絵やゴールドブロンズでできた素晴らしい暖炉用薪のせ台、ガラスケースに入った猪の頭の形をした独創的な陶製容器といった品々の美に、皆さま心奪われることと思います。

「なぜ人は狩りをするのか、動物にはどのような関係があるのか?」──新たにオープンした狩猟自然博物館では、この疑問への答えを得ることができます。ここでは、わたくしのような狩りをしないものにも、動物相の保護、そして環境保護における狩猟の役割を発見させてくれるのです。
この度のミュゼの刷新は、2つの点において成功を収めたといえましょう。ひとつは、創設者ソメールの願いどおり、狩猟というものが芸術の分野において、いかに大きな役割を果してきたかを明らかにしたこと。もうひとつは、博物館をコンテンポラリー・アートに対して開放し、狩猟が今日でも変わらずに、芸術のインスピレーションの源となりうることを証明したということです。
▲「青のサロン」の椅子の上に置かれた狐の剥製。
©Musée de la Chasse et de la Nature /photo Sylvie Durandd
   
最後に、このミュゼが子どもたちと一緒に楽しむのにふさわしい場所であることをお伝えして、筆を置くことにいたしましょう。マレ地区の中心というすばらしい立地で伝統的な邸宅の美をご堪能いただけるうえに、古典主義と現代アートを統合させたオリジナリティ溢れる展示を通じて、狩猟という魅惑的なテーマに、教育的・芸術的なアプローチで触れることができるのですから。

親愛をこめて


 
   
▲狩猟自然博物館のある通り。
©A.de Montalembert
▲鹿と狼の間。
©Musée de la Chasse et de la Nature /photo E. Le Marchand
▲壁を赤いビロードで覆われたサロン。
©Musée de la Chasse et de la Nature /photo E. Le Marchand
 
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