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ジョルジュ・サンドの家
▲モーリス・サンドのマリオネット。
©Maison de George Sand
次に訪れた部屋でわたくしたちは、ノアンが活き活きと明るく輝いていた頃の雰囲気をありありと思い浮かべることができました。両側に分かれた劇場の間です。片側の劇場ではジョルジュ・サンドが書いた劇作品を、招待客たち自らが演じていたそうです。そして、もう片側には、彼女の息子モーリスが作った人形劇場があります。モーリスは、母親の手を借りながら、およそ200ものマリオネットを製作しましたが、それらは、現在、受付の建物の1階で見ることができます。
大きな階段を上って、1階へとお進みください。廊下とショパンの部屋をつなぐのは、厚い布で覆われた一枚のドア。これは、物音などに邪魔されることなく作曲をするためのショパンなりの工夫でした。ショパンは8回もの夏をここノアンで過ごしましたが、ショパンをお好きな方々にとってはとても残念なことに、その痕跡は何ひとつ残されていません。と申しますのも、ショパンと別れた後、ジョルジュ・サンドがこの部屋を完全に改装してしまったからです。
▲サンドの<青い寝室>。
©Maison de George Sand
▲墓地。
©A.de Montalembert
ジョルジュ・サンドが最後に過ごした寝室へ入ったわたくしは、感動を禁じえませんでした。メダイヨン柄の青い織物で壁が覆われ、「青の寝室」と呼ばれるこの部屋には、ルイ16世時代の美しい家具や、天蓋の付いたベッド、温かい色調の壁掛けなどが置かれ、部屋全体がすばらしい調和を見せているのです。壁にかけられたカンタン・ド・ラ・トゥール(1704-1788)のすばらしいパステル画は、彼女の高名な一家の長老であり、ポーランド国王アウグスト2世の息子だったサックス元帥(1696-1750)を描いたものです。
心穏やかにサンド邸の訪問を終えるには、ぜひ庭園を散策なさってみて。そして、子供たちの誕生した際にジョルジュ・サンドが植えた2本のヒマラヤ杉を眺め、彼女が眠る墓地まで足を延ばし、黒御影石の墓石を前に、この館、そして辺りの田園をこよなく愛した女流作家の世界に思いを馳せてみてはいかがでしょう。ジョルジュ・サンドは、美しく小さな教会の傍らにある庭園の木陰で、家族に囲まれて埋葬されています。
▲ジョルジュ・サンドの墓。
©Maison de George Sand
▲ヴィック村の聖堂。
©A.de Montalembert
散策を終えたら、中庭の木陰にある感じのよいカフェにお立ち寄りになってもいいかもしれません。そして、書店のある階に上がって、モーリス・サンドが手がけた装飾やマリオネット人形をご覧になることもお忘れにならないで。
最後にちょっとしたアドバイスをお伝えし、この手紙を結ぶことにいたしましょうか。シャトールー方面へ2km弱ほど離れたところにある、ヴィック村の聖マルタン聖堂へいらしてみてください。そこにある12世紀のフレスコ画は、回り道をしてでも観るに値するすばらしいもの。このフレスコ画のいくつかは陶板で再現されていて、今では、日本の鳴門にある大塚国際美術館で見ることができるのですよ!

▲ヴィック村の聖堂内のフレスコ画。
©A.de Montalembert
▲ジョルジュ・サンドの家の入り口にあるサンタンヌ聖堂。
©A.de Montalembert
▲ピュイヴァル城に再現された<青い寝室>。
©A.de Montalembert
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