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ウジェーヌ・ブーダン美術館 backnumber
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▲ウジェーヌ・ブーダン美術館
©A. de Montalembert

オンフルールの絵画史を概観なさりたい方は、是非、ウジェーヌ・ブーダン美術館をお訪ねになってください。ブーダンとデュブールの発案で1868年に創設されたミュゼで、ブーダンは53点の作品と、彼の画家仲間らが制作した17点を遺贈しています。もともとはアウグスティノ会修道院の礼拝堂内に造られましたが、1974年にはモダンな建物が1棟増築され、セーヌ河口の美しい景色を望むふたつの広い展示室が造られました。最近のこととしては、1988年に、19世紀の作家の絵画、アンブール=ラシェの寄贈作品、グラフィック作品の展示室を収容するため、礼拝堂に隣接する旧家が改修されています。多くのプレ印象派の作品のみならず、オンフルールに滞在した20世紀の作家の絵画をも含むこのミュゼのコレクションをご覧になれば、オンフルールにおける芸術活動がいかに実り多きものであるか、お分かりいただけるでしょう。


▲ウジェーヌ・ブーダン《小さな魚屋》パステル 1855-59年
©H. BRAUNER

▲美術館からのル・アーブル港の眺め
© A. de Montalembert


▲ギュスターヴ・クールベ《オンフルール近郊の海岸》1866年
©H. BRAUNER

礼拝堂を廻られたら、ブーダンの画家仲間たちの作品が展示されている3階のウジェーヌ・ブーダン室へと参りましょう。まずは、《河口で危機に瀕する小型船》(1846)で荒れ狂う嵐を描き出したウジェーヌ・イザベイらのロマン派とバルビゾン派の画家たちの作品をご覧ください。そして、最後に、クールベの《オンフルール近郊の海岸》(1866)もお忘れにならないで。明るい色調の淡い空の描写にブーダンの影響がうかがえます。

ここでは、オンフルールのさまざまな情景が並べて展示してあるので、わたくしは非常に興味深く、それらを拝見いたしました。

デュブール《オンフルールの旧家》:中世の家々が軒を並べる通りで、ごくありふれた日常のひとコマを描いた作品です。
ヨンキント《オンフルール、サント・カトリーヌ広場、市場》:光に満ち、移ろいやすい空の下、小さくて素早い色彩のタッチで人々を描き、オンフルールの市場の賑わいを伝える類まれなる作品です。
モネ《オンフルール、サント・カトリーヌの鐘楼》:モネの作品の中でもとりわけユニークなものといえましょう。空の光や、小さな色斑を並列して描く技法にブーダンの影響がうかがえますが、これが、やがて印象派の特色となるのです。
ブーダン《トゥルーヴィルのオンフルールの道》:空の描写に、オランダの画家たちの影響が見られる作品です。また、荷車と犬の描き方には、バルビゾン派の画家トロワイヨンの影響もうかがえます。
*部屋の中央にある展示ケースには、ブーダンのパレットと、カロルス=デュラン(1837−1917)が描いた、黒っぽい服を着た少し険しい表情のモネの肖像画(1867)があります。


▲ヨハン・バルトルト・ヨンキント《オンフルール、サント・カトリーヌ広場、市場》1865年
©H. BRAUNER

▲ウジェーヌ・ブーダン《トゥルーヴィルのオンフルールの道》1860年頃
©H. BRAUNER


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