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マラルメ美術館 Musée Mallarméマダムの連載の一部(10館)が本になりました。 バックナンバーを読む
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▲書物机の上にはマラルメのポートレートが飾られている
Musée départemental Stéphane Mallarmé © Yvan Bourhis/DAPMD CG77

▲マラルメの愛用品が並ぶマラルメの寝室
Musée départemental Stéphane Mallarmé © Yvan Bourhis/DAPMD CG77

前庭に面したマラルメの寝室からは、フォンテーヌブローの森とセーヌ河の眺めが一望でき、詩人の愛した風景を愛でることができます。壁やルイ16世様式の寝台、戸棚の色調をグレーでまとめたこの部屋の装飾はマラルメ自身が手がけました。ここには、詩人愛用の品々がたくさん飾られています。寝台の枕元には8歳で亡くなった息子アナトルの肖像画があり、家族を襲った悲劇を物語っています。本棚にはもちろんエドガー=アラン・ポーの作品が並び、イギリス文学に傾倒していたマラルメの趣向がうかがえます。安楽椅子の上には千鳥格子柄のショールが置かれていますが、これは寒がりのマラルメがいつも身に付けていたもので、書き物机の上には、このショールを肩にかけた彼の肖像写真が置かれています。


▲マラルメの遺品が集められた部屋
Musée départemental Stéphane Mallarmé © Yvan Bourhis/DAPMD CG77

マラルメの娘とその夫エドモン・ボニオは、マラルメの死後、その遺品を一室に集めました。そこには錬鉄の寝台、黒のテーブル、また、『冬の戦慄』にも登場するヴェネツィアの鏡が置かれています。

階下におりて、マラルメ自身が選んだフランス語の書物を集めた読書室をご覧になってください。つましい生活をしていたマラルメが、質素な刷りの本を入手していたことがおわかりいただけるでしょう。


▲果樹が植えられた庭
© Yvan Bourhis/Musée Mallarmé-DAPMD-CG77

外に出られましたらぜひ、在りし日のままの穏やかな空気が流れる、可愛らしい小さな庭を楽しんでください。19世紀末に特徴的な、ブルジョワ風と田舎風が合わさったようなこの庭は、当時の写真をもとに再現されました。先ほども少し触れました前庭は、セーヌ河沿いの道路(マラルメ河岸と名付けられています)と家の間にあり、大きなマロニエの木が心地よい日陰を作っています。マラルメはここに友人たちを招いたといいます。家の裏側にある庭へは、(今は閉鎖されていますが)小さな通路があり、そこを通って抜けることができました。こちらの庭は壁に囲まれ、砂の道が通り、さくらんぼやりんご、洋ナシなどの果樹が植えられています。ぜひ、春か夏に訪れるとよろしいでしょう。テーブルやいすが備えられておりますから、思索や読書にはうってつけの場所ですよ。


▲レストラン「ラノー・ド・マラルメ」
Anne de Montalembert

このミュゼ周辺のセーヌ河沿いは本当に美しい場所。川沿いのそぞろ歩きを楽しんでから、「ラノー・ド・マラルメ(l'Anneau de Mallarmé)」というレストランのテラス席に座り、行き交う船を見ながらひと休みされてはいかがでしょう。そして、もし時間があれば、橋を渡ってセーヌの反対側にあるサモワという可愛らしい小さな村の散策もおすすめです。こちらの川沿いにも、レストランが軒を並べています。

友情を込めて。


▲マラルメ美術館の入り口
©Anne de Montalembert

▲レストラン「ラノー・ド・マラルメ」
©Anne de Montalembert

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