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ジャン・コクトーの家 Maison Jean Cocteau, Jean Cocteauマダムの連載の一部(10館)が本になりました。 バックナンバーを読む
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▲友人達が描いたコクトーの肖像の部屋
©Photo Patrick Boucher/ Maison Jean Cocteau à Milly-la-Forêt.

寝室に続く部屋は、コクトーの仕事のさまざまな面を紹介する展示室になっています。新聞にデッサンを発表するときに使ったペンネームJaphのサインのあるデッサンには、コクトーを取り巻く世界がユーモアたっぷりに描かれており、とても面白いもの。色彩豊かな素晴らしい絵画《ハリウッドの眠り》は、虎の隣で眠る人が、想像の世界にいるところ(もしかしたらアヘンのせいで)を表現しています。それから第一次世界大戦を思い起こさせるものとして、週刊誌『ル・モ』の反ドイツのイラストが戦争の恐ろしさを物語っています。次に、映画撮影中や映画の写真の数々、例えば『美女と野獣』で野獣に扮したジャン・マレーの写真(ルシエンヌ・シェヴェール、1945年)などを展示し、偉大な映画監督としてのコクトーの側面を扱っています。また演劇や『オルフェ』(1926年)のような劇の創作、音楽界やストラヴィンスキーなどの作曲家とのコラボレーションなども同様に扱われています。


▲果樹園とサロン・ド・テまでの一本道
©Anne de Montalembert

▲果樹園を望むサロン・ド・テ
©Anne de Montalembert

友人たちが見たコクトーの肖像を展示した部屋もあります。ピカソ、モディリアーニ、ロート(1885-1962)が描いた3つのデッサン、リプシッツ(1891-1973)作の大理石の胸像は1916〜17年と1920年の若いコクトーを表しています。ジャック=エミール・ブランシュ(1861-1942)の《コクトーの肖像》(1912年)では、上品で非常に洗練された若い男として表現されています。黄色、オレンジ、紫、青のトーンを使ったアンディ・ウォーホル(1928-1987)のシルクスクリーン《ジャン・コクトー》(1983年)は、コクトーをとても存在感のあるものに見せています。コクトーは今世紀で最も多くの肖像画が制作された人物のひとりでしょう!

1階に下りたら、花咲く美しい庭を散歩し、堀を渡って果樹園まで行ってみてください。ここからはコクトーの家と教会の美しい眺めが得られます。


▲ジャン・コクトーとその恋人エドゥアール・デルミの墓
Association des Amis de La Chapelle Saint Blaise www.chapelle-saint-blaise.org Reproduction interdite copyright.

▲サン=ブレーズ=デ=サンプル礼拝堂
Association des Amis de La Chapelle Saint Blaise www.chapelle-saint-blaise.org Reproduction interdite copyright.

ミリー=ラ=フォレを訪れたからには、町外れのサン=ブレーズ=デ=サンプル礼拝堂にもいらしてください。ここは、コクトーがパートナーのエドゥアール・デルミとともに眠る場所。1959年には、この建物の装飾を手がけています。これは12世紀の癩病院の跡として唯一残る建物で、「サンプル」と呼ばれる薬草を用いて患者の治療にあたった医者の司教、聖ブレーズに捧げられています。そのため、コクトーは壁のフレスコ画のテーマとして、薬草を選んでいます。扉を囲む素晴らしいリンドウをご覧ください。祭壇の奥には、荊冠を被り、傾いだキリストの頭部が苦悩の表情を見せています。両側のニッチには、ふたつの荊冠が置かれています。ふたつの燭台は、単なる干し草用の熊手で出来ています。ちょっとしたディテールにご注目。猫の脚の間にコクトーのサインがあるんですよ!コクトーがデザインしたステンドグラスが礼拝堂に柔らかい光を通しています。彼が望んだように、内省的な静寂を遮るのは、フランス語のコメントを読むジャン・マレーの美しく温かい声のみです。季節ごとの薬草を見ることができる小さな素晴らしい植物園も建物と調和しています。


▲2本のリンドウが取り囲むチャペルの入り口
Association des Amis de La Chapelle Saint Blaise www.chapelle-saint-blaise.org Reproduction interdite copyright.

▲猫の脚の間に記されたコクトーのサイン
Association des Amis de La Chapelle Saint Blaise www.chapelle-saint-blaise.org Reproduction interdite copyright.

自分自身を何よりもまず詩人と見なしていたコクトー。そして、その直感と類稀なる才能で、20世紀を代表するフランスの芸術家となったコクトー。ミリー=ラ=フォレの家と礼拝堂を訪れれば、そのユニークな個性を発見することができるでしょう。

友情を込めて。


▲コクトーの家のブティック
©Anne de Montalembert

▲サン=ブレーズ=デ=サンプル礼拝堂の装飾。薬用効果のある花が描かれている
Association des Amis de La Chapelle Saint Blaise www.chapelle-saint-blaise.org Reproduction interdite copyright.

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