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長いワインの歴史と文化を辿る展覧会「ワインとは西洋文明のシンボルである」
世界有数のワインの産地アキテーヌでは、
現在ワインにちなんだ大企画展が開催されています。
古代ローマの時代から飲み継がれ、人々に愛されてきたワインは、
まさに西洋文明のシンボル。
その長い歴史とともに、1本のボトルやグラスを支えてきた
豊かな文化的背景に触れることができます。
©Fabian Charaffi / ©Kumiko Tanaka
▲今回の最古の展示品は、クレタ島から出土した素焼きのカップ(紀元前14世紀から13世紀)。

 現在アキテーヌ地方博物館では<ボトルの中で、ワインの魂が歌う L'âme du vin chante dans les bouteilles >と題された、ワインに関する企画展が行われています。展示品は400点にのぼり、準備に3年が費やされ、45の美術館が協力しています。
 この展覧会は大きく4つのテーマに分けられ、ワインをめぐる習慣や、その社会的な意味などを物語る品々を通して、いわゆる「ワイン文化」を大きな視点で捉えた展示がなされています。


▲3つめのテーマの展示会場。時代によってグラスの素材や形、飲み方などが変わっていった。

 テーマは、1:壷からボトルへ(売買、運送)、2:食堂で、また屋外で(測る、味わう、のどをうるおす)、3:今日までのアキテーヌのワイングッズ(飲酒、試飲)、4:ワインの力(祝福、治療、儀礼)となっており、ローマ時代から培ったワインの伝統、そして進化をテーマ別に見ることができます。
 ワインは一朝一夕に作り上げられたものではなく、ボトルやグラスの素材、そのフォルムひとつをとってみても長い試行錯誤が繰り返され、新素材の発見や新技術の開発によって現在のかたちとなったことがわかります。ワインの質の変化、飲み方などが洗練されていった過程などを辿ることで、文明の発達がいかに大きく影響を与えたことが見て取ることができるでしょう。

▲ローマ時代のグラス。これだけ状態のよいものは稀少。   ▲18世紀から19世紀にかけてのボルドー産ボトルのフォルムの変遷。
▲パレスチナで見つかったボルドー産のワイン壺。ワインを運んだのち、この壺はパレスチナで赤ん坊の埋葬に使われていた。

 またローマ時代のアキテーヌ産の素焼きの壷がパレスチナで発見されており、すでにこの時代にワイン交易は中近東まで広がっていたことに驚かされます。交易と共に文化交流があったことは明らかで、まさにワインは<西洋文明のシンボル>であったわけです。


 この展覧会で知識を得た後、近隣のワインのカーブを訪ねると、きっと興味が倍増することでしょう。手工芸による精緻を極めた美しい品々もたくさん展示されているので、それらを鑑賞するだけでも価値のあるものです。本場ならではの、ワインのさまざまな側面を探る稀有で意欲的な展覧会です。

▲ヴラマンク≪静物‐ブドウ≫(1936年)。   ▲ワインは古くから宗教と密接に結びついていた。キリスト教との関連コーナー。
田中久美子(Kumiko Tanaka/文・写真)
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整然とした都市美を誇る豊かな街、ボルドー

アキテーヌ地方博物館

「ワインとは西洋文明のシンボルである」

サン=テミリオン

アキテーヌ地方博物館

  • 所在地
    20 cours Pasteur 33000 Bordeaux
  • Tel
    +33(0)5 56 01 51 00
  • URL
    http://www.bordeaux.fr
  • 開館時間
    11:00-18:00
  • 休館日
    月曜、祝祭日
  • 入館料
    常設展:無料
    企画展:5ユーロ

 

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。