クリスマスの古都ストラスブール過去と現在が交錯するストラスブール

聖者が舞い降りる地アルザス

ロアン宮殿とストラスブール美術館

▲大聖堂から見下ろしたロアン宮殿。
© Jean-Yves Fick
 

ストラスブールの見どころのひとつは、マルシェ・ド・ノエルのすぐ横に建つロアン宮殿です。ロアン宮殿は、ルイ14世付きの建築家として知られるロベール・ド・コット(Robert de Cotte)によって、ストラスブールのロアン大司教(Prince cardinal de Rohan)のために建てられました。

▲ロアン宮殿の中庭から望む大聖堂。
© Rika Endo-Cadou
 

美しいシンメトリーをもつ古典主義様式の建築で、マリー=アントワネット(Marie-Antoinette)やナポレオン1世(Napoléon I)も訪れた優雅なたたずまいの宮殿です。現在は、大司教のアパルトマン部分、サロン、王侯用寝室、図書館、礼拝堂など、ロココ様式の内装を見学することができます。またこの宮殿内には、地下の考古学博物館(Musée d'Archéologie)、17世紀後半〜19世紀中頃のコレクションを収める装飾博物館(Musée des Arts décoratifs)、14〜19世紀のヨーロッパ美術を展示するストラスブール美術館(Musée des Beaux-Arts de Strasbourg)が併設されています。

▲ロアン宮殿中庭左手にある美術館入り口。
© Rika Endo-Cadou
 

ロアン宮殿の門を抜け、中庭左側にあるのが美術館の入り口です。白壁の階段を上り2階の扉を開けると、15〜16世紀の宗教画の並ぶ展示室が広がります。ボッティチェリ(Sandro Botticelli)の≪聖母子像≫など、イタリア・ルネサンスの巨匠の作品が並ぶ展示室もあります。さらには16世紀のヴェネツィア派の作品をはじめ、マニエリスム、フォンテーヌブロー派など、まるでヨーロッパ絵画史の歩みをたどれるような作品群が次々と登場します。

▲磔刑図や聖母子像が並ぶ15〜16世紀の宗教画の展示室。
© Rika Endo-Cadou
  ▲16世紀ヴェネツィア派の展示室。
© Rika Endo-Cadou
     
▲ニコラ・ド・ラルジリエール≪ストラスブールの美女≫1703年
© Mathieu Bertola, musée des Beaux-Arts de Strasbourg
 

17世紀フランドルの巨匠ルーベンス(Peter Paul Rubens)と同じ展示室にあるのは、フランスで活躍した肖像画家ニコラ・ド・ラルジリエール(Nicolas de Largillière)の≪ストラスブールの美女≫です。この作品は、当美術館の≪モナ・リザ≫ともいわれています。ニコラ・ド・ラルジリエールは、肖像画を得意としましたが、なかでもこの作品は代表作で、モデルのスタイルは、当時のパリで大きな反響を呼びました。フランドルで学んだルーベンス派の暖かい色調や神秘的な筆遣い、謎めいた形の帽子、大胆な黒のドレスと胸元の繊細な装飾のコントラストなどが、パリで高く評価されたのです。

美術館にはこの他に、ローテルブール(Philippe-Jacques de Loutherbourg)やコロー(Jean-Baptiste Camille Corot)、クールベ(Gustave Courbet)やストラスブール生まれのエンネル(Jean-Jacques Henner)などロマン主義と写実主義の名作が所蔵されています。

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原文:エステール・ミケル(Esther Miquel)
アデミック日本・ヨーロッパコンサルティング社代表取締役。
現在ストラスブール市と東京のマルシェー・ド・ノエル(2009年12月開催)コーディネーターとして活動中。

和訳・写真:遠藤利加
 
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イルミネーションに輝く マルシェ・ド・ノエル「ヨーロッパの十字路」 アルザスの歴史ロアン宮殿と ストラスブール美術館

ロアン宮殿

  • 所在地
    2 place du Chateau Strasbourg
  • Tel
    +33(0)3 88 52 50 00
  • 開館時間
    <平日> 12:00-18 :00
    <土・日曜日> 10 :00-18 :00
  • 休館日
    火曜日、祝日
  • 入館料
    一般:4ユーロ
    20名以上のグループ、学生、25歳以下:2ユーロ
    18歳以下:無料

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MMFで出会える ストラスブール美術館

  • MMFインフォメーション・センターでは、ストラスブール美術館の図録を閲覧いただけます。

 

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