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フランス漫画の聖地アングレーム−「国際漫画フェスティバル」に沸く町−

第37回アングレーム国際3.漫画フェスティバル

フランス中の話題をさらう漫画の祭典

 2010年1月28日、第37回アングレーム国際漫画フェスティバルが開幕しました。4日間にわたるフェスティバルの開催期間中は、主な日刊紙や文化・文学系の雑誌をはじめ、さまざまなメディアがこぞってその様子を取り上げ、漫画がフランス中の話題の中心になります。
 第1回フェスティバルが開かれたのは、今から約35年前の1974年のこと。その反響はまたたく間に国際的な広がりを見せました。90年代以降は、漫画の版権を取引する市場となり、そしてもちろん、世界中の漫画ファンが作品と出会える場所として、知られるようになりました。会期中は、あちこちでサイン会が開かれ、ファンと作家がふれあうこともできるのです。

 
 
▲フラマン語圏の作家のパビリオン。
 
 
 
▲古本屋のスタンド「パラディ・デ・ブキニスト」。
 

 アングレーム国際漫画フェスティバルでは、さまざまな賞が授与されます。その頂点に立つのが「アングレーム市グランプリ」で、優れた業績を持つ作家に与えられます。昨年2009年度はフランス人作画家ブリュチ(Blutch)が受賞しました。受賞者はその次年度のフェスティバル委員長となり、個展を開催する栄誉が与えられます。

 グランプリと並ぶ栄冠は、その年で最も優れた作品に与えられる「最優秀作品賞」です。2007年度には、日本の作品としては初めて、水木しげる氏の『のんのんばあとオレ(NonNonBâ)』が受賞しました。

フェスティバルを彩るさまざまな展覧会

 フェスティバルの会期中は、漫画に関連した展覧会がさまざまな場所で開催されます。
市役所の前では、南北戦争を舞台にしたユーモラスで型破りな西部劇、コーヴァン(Raoul Cauvin)とランビル(Willy Lambil)の作品『青い上着(les Tuniques bleues)』シリーズの展覧会が行われました。

 
 
▲アングレーム市役所前広場。
 
 
 
 
▲市役所前の『青い上着』の展示。
 
 
 
▲アングレーム美術館。建物はかつての司教館。
 

 改装移転前にはフランス漫画博物館だった建物では、「レオナール:地球を救う天才はいるのか?」というタイトルで、レオナルド・ダ・ヴィンチにちなんで、1974年にチュルク(Turk)とボブ・ド・グロート(Bob de Groot)が初めて発表した『レオナール(Léonard )』に光を当てました。この作品は、600万部の売り上げを記録し、ベルギーの人気漫画の中でもとりわけ重要です。主人公の科学への興味が展覧会の道筋となり、子どもたちが楽しく環境問題について学べるようになっていました。

 また、アングレーム美術館では、「ルーヴル展」が開催されました。これは2009年に漫画がルーヴル美術館で数ヵ月にわたって展示されるきっかけとなった展覧会で、ルーヴル美術館出版部門が出版した漫画が中心の構成です。ニコラ・ド・クレシー(Nicolas de Crécy)の『氷河時代(Période glaciaire)』やイスレール(Bernard Yslaire)とキャリエール(Jean-Claude Carrière)の『ルーヴルの上の空(Le Ciel au-dessus du Louvre)』とともに、日本の荒木飛呂彦氏の作品も展示されました。

 日本の漫画作家の作品は、「マンガ・ビルディング」でまとめて紹介されました。ここには毎回たくさんの「マンガファン」が集まります。フランス語に翻訳された日本の「Manga」は、現在ではフランスにおける漫画の売り上げの3分の1以上にのぼるのです!
 今年は『One Piece』が紹介されました。これは、尾田栄一郎氏の作品で、ユーモア溢れる海賊の冒険物語です。日本人漫画作家でもうひとり紹介されたのは幸村誠氏で、『プラネテス』『ヴィンランド・サガ』のシリーズの原画が何点か展示されました。

 
 
▲アングレームの「マンガ・ビルディング」。
 
 
 
▲尾田栄一郎氏からファンへのメッセージ。
 
 
 
▲ブリュチ、ファビオ・ヴィスコグリオジとユーモア溢れるデッサンを描く作家たち。
 

 アンリ・デュナン広場の古い建物では、3つの展覧会が行われました。「ユーモアのデッサン作家」展は、戯画作家やフランス漫画の先駆者といえるようなイラストレーターを取り上げ、ユーモラスなデッサンと、デッサンによる叙述の歴史に光を当てます。

 また別の場所では、「若き逸材」展と題し20人の若い作家の作品を紹介していました。この作家たちは、「若き逸材コンクール」という17歳以下のアマチュアの漫画作家向けのコンクールで、2009年に選び出された作家たちです。このコンクールは今年も行われています。

 そして、2008年から2009年の学校漫画コンクールの受賞作品を紹介する展覧会では、未来の大物漫画作家を発見できるかもしれません。

Update : 2010.4.1
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アングレーム国際 漫画フェスティバル

フランス漫画博物館(国際フランス漫画館内)
  • 所在地
    121 rue de Bordeaux
    BP 72308
    F-16023 Angoulême cedex
  • Tel
    +33(0)5 45 38 65 65
  • URL(国際フランス漫画館)
    http://www.citebd.org/
  • 開館時間
    <9〜6月>
    火-金曜日:10 : 00-18 : 00
    土・日曜日:14 : 00-18 : 00
    <7・8月>
    火-金曜日:10 : 00-19 : 00
    土・日曜日・祝日: 14 : 00-19 : 00
  • 休館日
    月曜日、1/1、5/1、12/25
  • 入館料
    <常設展>
    一般:4ユーロ
    割引料金:3ユーロ
    <企画展>
    一般:3ユーロ
    割引料金:2ユーロ
    <常設展+企画展>
    一般:6ユーロ
    割引料金:4.5ユーロ
*18歳以下と、15人以上のグループの付き添いの方、障害のある方の付き添いの方は無料です。また、9月から翌6月までの毎月第一日曜日は無料です。
MMFで出会えるフランス漫画
アングレームのその他のミュゼ

▲アングレーム紙博物館。
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