「外交とセーヴル磁器展 ヨーロッパの歴史を動かした華麗な器たち。」

ルーヴル美術館でも採用決定!工芸品を楽しむための、新しい鑑賞システム

「紙のリーフレット」とマルチメディア アナログとデジタルの楽しい共存!

▲パンフレットのページをめくると、次のコンテンツが始まる
 

 「セーヴル磁器」は、『ルーヴル - DNPミュージアムラボ』が初めて、「工芸品の鑑賞」という課題に真正面から取り組むこととなったテーマです。かつて人々が実際に手にとり、暮らしの中に身近に存在していた工芸品には、絵画や彫刻のような鑑賞目的で制作されたものとは異なる魅力があります。今回の鑑賞システムは、「工芸品を見る楽しさとは?」を追究したものといえるでしょう。


 展示室に入ってすぐに鑑賞者を迎えるのは「セーヴルと外交」という展示テーマに最もふさわしいセーヴル磁器。ルイ15世からデンマーク王、オーストリア皇后、プファルツ選帝候にそれぞれ贈られた食器セットに由来する3点の皿が並びます。まずは、その美しさを堪能してから、「紙のリーフレット」が並ぶコーナーへ。パネルに表れた指示に従って、並んだリーフレットから1枚を選び、テーブルの上に置くと、今目にしたばかりの3点の皿に関する贈り物としてのエピソードが音声と映像で楽しめる仕掛けになっているのです。この解説を見た後で、再び作品に戻ると、これらの皿が、実際に歴史の主人公たちの日常の中にあったということが、よりリアルに伝わってくるから不思議です。作品の背後に秘められたストーリーを知ることは、工芸品を楽しむ上でとても大切な要素なのです。

展示ケース内に現れる作品解説 作品と解説がスムーズにリンク!

 次は同じくルイ15世からナポリ王妃に贈られたボトル・クーラーと、アストゥリアス公妃へ贈られた皿が飾られた展示ケースへ。ケースの前に立つと、なんと作品の台座に解説が表れます。また、スポットライトによって、作品のどの部分についての解説がなされているのかが示されるので、鑑賞者は迷うことなく、その見どころを知ることができるのです。

▲スポットライトが当たるので、解説文がどこを説明しているのかがすぐに分かる   ▲マリー=アントワネットゆかりの展示品。ケースの後ろには、ルイ16世とマリー=アントワネットとのヴェルサイユ宮殿のオペラ座での婚礼の様子を描いた絵があしらわれている
     

 展示室の雰囲気にも工夫が凝らされています。壁紙には当時流行した青が用いられ、ヴェルサイユのマリー=アントワネットゆかりの部屋の装飾をモチーフにした文様が施されています。この落ち着いた空間で作品を鑑賞した後は、展示室を出て、ホワイエへ向かうことにしましょう。

ワークショップ感覚で学び、楽しむセーヴル磁器の制作工程

▲各作品のミニチュアを所定の位置に置くと、作品の装飾に関する解説が現れる。画面上の作品に触れて、作品を360°回転させることもできる
 

 ホワイエは、ワークショップ感覚で参加し、楽しみながら作品世界を学ぶことのできるスペースです。今回のポイントは、「工芸品」ならではの新しい鑑賞方法を体感できること。生活の道具である工芸品は、本来は手に取って自由に鑑賞できるようにすべきですが、作品保護の観点から、それは不可能です。そこで、各作品をタッチパネルで360°動かすことのできる鑑賞システムが用意されています。3D-CG技術いたこの展示では、展示ケースの中に飾られた作品では決して見ることが叶わない角度から作品を鑑賞するという、新鮮な体験をすることができます。さらに、セーヴル磁器の絵付けコーナーでは、ワークショップに参加したような感覚で、職人技の領域をヴァーチャルで体験することができます。

▲セーヴル磁器の絵付けをヴァーチャルで体験できるコーナーもある
 

本家ルーヴルより一足早くマルチメディアの鑑賞システムを体験!

▲「軟質磁器の製作技術」の展示。ケースの中に置かれた標本を指差すと、解説が始まる
 

 2006年のオープン以来、最新のIT技術を駆使したさまざまな美術鑑賞システムを提案してきた『ルーヴル - DNP ミュージアムラボ』ですが、今回の「外交とセーヴル磁器展」のために開発したシステムのうちふたつが、パリのルーヴル美術館工芸品部門の新展示室に設置されることが決まっています。

 ホワイエに設置されている「フランス式の食卓儀礼」と「軟質磁器の製作技術」に関する展示システムです。「フランス式の食卓儀礼」の展示では、鑑賞者は映像が映し出されたテーブルで、ルイ15世が1757年4月21日にショワジー城で開催した、夜食会の食卓で使われたセーヴル磁器のヴァーチャル画像がコース料理の順序に沿って見ることができます。また、「軟質磁器の製作技術」では、セーヴル磁器の軟質磁器の製作技法が、素地や絵付け用の色素などの実際の標本と、アニメーションによって分かりやすく解説されています。

▲「フランス式の食卓儀礼」の展示。後方の壁面には映像も映し出され、夕食会の雰囲気を体験できる
 

 ルーヴル美術館で、マルチメディアによる鑑賞システムが採用されるのは初めてのこと。その斬新な技術を、パリでの設置に先駆けて体験してみませんか?そして、これらの展示を通じて、王侯貴族らの暮らしぶりに思いを馳せ、職人がその技を惜しげもなく注ぎ込んだ芸術「工芸品」を見るという楽しさに触れてみませんか?

 

またミュージアムラボでは、日本語だけでなく、ルーヴル美術館の学芸部門の解説がネイティブによるフランス語でも楽しめるので、通常の展覧会とはひと味違った楽しみ方も!アートとフランス語をふたつながら楽しめるうれしい場所です。

 

[FIN]

Update :2011.2.1
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第7回「外交とセーヴル磁器展ヨーロッパの歴史を動かした華麗な器たち。」

  • 会期
    2010年10月23日(土)〜
    2011年5月15日(日)
  • 会場
    ルーヴル - DNP ミュージアムラボ
    東京都品川区西五反田3-5-20
    DNP五反田ビル1F
  • URL
    http://museumlab.jp
  • 観覧予約
    ルーヴル - DNP ミュージアムラボは、事前予約制です。来館をご希望の方はホームページ または電話にてご予約ください。
    観覧予約はこちら>>

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    ルーヴル - DNP ミュージアムラボ
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    03-5435-0880

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    土・日曜日:9:00-18:00
    (月〜金曜日の祝日、年末年始は休み)

  • 開館時間
    金曜日:18:00-21:00
    土・日曜日:10:00-18:00
  • 休館日
    金曜日が祝日の場合、保守点検日、展示替え期間、年末年始
  • 観覧料
    無料・予約制
 

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