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開催から現在まで 今後の活動について 日本語 Francais
ポンピドー・センター館長 ブルノ・ラシーヌ氏へのインタビュー
パリを訪れた際にはぜひとも行っておきたい場所の一つポンピドー・センター。
しかし、名前や建物の知名度に対して、その中身―作品の収集・展示、
研究、クリエーションの場を統合したユニークな文化コンプレクスだという
こと―はあまり知られてはいないのではないでしょうか。
ブルノ・ラシーヌ(Bruno Racine)館長にポンピドー・センター30年の歩みと、
今後の展望について伺ってみました。
©Andreas Licht
今後の活動について

▲アトリエ・ブランクーシ。
©Philippe Biancotto, 2007

MMF:これまでの30年と比べて、ポンピドー・センターは今後、どのように発展していくのでしょうか。
B.R.:この30年の間、ポンピドー・センターはその特質を尊重し、更に発展させるよう努力してきました。その結果、世界的な評価を得ることができました。しかし、今日、ポンピドー・センターの活動は、新たな広がりをみせようとしています。開館当時、ポンピドー・センターはヨーロッパとアメリカの文化交流の基点になることを目指していました。

しかし、新たな美術シーンの出現、表現方法の発展、目覚ましい技術革新など、この30年間で世界の状況は著しく変化しました。世界中のアーティストとその作品を新たな目で見直し、文化的発展を先取りするためには、こうした状況をよく理解していなければなりません。
そのため今年始めから、コレクションの拡充、対象とするアートシーンの拡大、フランスにおける創作活動支援の強化、研究と技術革新、そして若者を対象とした活動の強化、こうしたことに焦点をあてています。これが21世紀のポンピドー・センターの活動の支柱となるはずです。

また、メッスに分館ができますが、これは国家のコレクションを首都が独占するのではなく、ほかの都市の要望にも応じるべきだという意向に応えるものです。同時に、ポンピドー・センターにとっては、パリの展覧会で試みた新しい展示のコンセプトを別の場所で試すという興味深い試験台ともなります。
ドイツ、ベネルクスとの国境沿いという場所柄、メッス・ポンピドー・センターは、ヨーロッパネットワークの重要な基点となるでしょう。
 
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MMF:ポンピドー・センターは、美術市場や国際的なアートシーンの発展に敏感に反応しているのですね。こうした状況に対応するために、具体的にはどのような政策を取るおつもりですか。
B.R:2007年は、西洋という地域的な枠組みを超え、国際的なネットワークを構築することに力点をおきたいと考えています。このネットワークを通じて、コレクションを展示し、国際的なアートシーンをより注意深く追い、特に近年美術の分野で頭角を現している国で新しい才能を見つけ出そうと考えています。
近い将来、アジアやラテンアメリカ、アフリカは、国際的なアートシーンでますます重要な位置を占めるようになるでしょう。こうしたすべての大陸の新しい表現形態を捉えることができるような、見識のある仲介者を見つける必要があるでしょう。
▲センターのファサード。
©Georges Megerditchian, Paris, 2007
日本では、日仏の交流を推進し、ポンピドー・センターのコレクションに日本人アーティストの作品を増やすための友の会をつくりたいと思っています。アメリカ合衆国で2年前から活動しているジョルジュ・ポンピドー財団のようなものです。この財団は、ロバート・ルービン(Robert Rubin)ら著名なコレクターを中心に活動していますが、現在ポンピドー・センターのテラスに展示されているジャン・プルヴェ(Jean Prouve)の熱帯の家はルービン氏のおかげでコレクションに加えることができました。ジョルジュ・ポンピドー財団を通じて、これからアメリカの作家の作品を充実させられるでしょう。同様の活動は、ブラジル、サンパウロでも行われていて、ブラジルやラテンアメリカでの活動の基点となっています。
 
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MMF:ポンピドー・センターは、アジア、特に中国にも関心を持たれていますね。上海にできるポンピドー・センター分館はどのようなものになるのですか。
B.R:上海の分館に関しては、議論は進行中です。基本事項は2006年10月に確定されました。上海ポンピドー・センターは、文化交流と対話に基礎をおいた施設となる予定です。ポンピドー・センターがノウハウを提供し、企画を立案します。その代わりに中国側からは、中国やアジアの文化シーンについて深い知識を得ることができると考えています。
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MMF:2007年の重要な企画をいくつか挙げていただけますか。
B.R:企画は多岐にわたっており、ポンピドー・センターのジャンルを超えた、横断的性格をよく表しています。
展覧会では、現存作家の個展《6月:アネット・メッサジェ(Annette Message)、11月:リチャード・ロジャース(Richard Rogers)》、美術史上の重要作家を扱うもの《5月:サミュエル・ベケット(Samuel Beckett)、7月:ジュリオ・ゴンザレス(Julio Gonzalez)、10月:アルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)》、現代のアートシーンを伝える展覧会《4月:パリの空気(Airs de Paris)展》、若手アーティストを紹介する展覧会《5月:フィリップ・マヨー(Philippe Mayaux)、10月:シルヴィア・ベッヒュリ(Sylvia Bächli)》が企画されています。

映画の上映プログラムでは、ジャック・リヴェット(Jaques Rivette)、アトム・エゴヤン(Atom Egoyan)、アッバス・キアロスタミ(Abbas Kiarostami)、ヴィクトル・エリセ(Victor Erice)に焦点をあてます。

また、サミュエル・ベケット展に合わせて、3月に、IRCAMとアンテルコンタンポラン・アンサンブルの協力で、演劇「クラップの最後のテープ」やコンサート「サミュエル・ベケットのために」を上演しました。また《パリの空気(Airs de Paris)展》と関連して、4月に、グザビエ・ヴェイヤン(Xavier Veilhan)と音楽グループ「エール」が音楽とパフォーマンスによる舞台「隕石」を上演しました。
 
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Update: 2007.5 インタビューと翻訳:阿部明日香(Asuka ABE)
ジョルジュ・ポンピドー 国立芸術文化センター
所在地
 
75191 Paris Cedex 04
Tel
 
+33(0)1 44 78 12 33
URL
 
http://www.cnac-gp.fr/
開館時間
 
11:00-22:00
美術館および展示室:
11:00-21:00
(カウンターは20:00まで)
アトリエ・ブランクーシ:
14:00-18:00
図書館:12:00-22:00(平日)、11:00-22:00(土、日曜日)
休館日
 
火曜日、5月1日
入館料
 
受付、カウンター、および当日プログラムにて案内。
美術館は18歳未満および毎月第一日曜日は無料。
アクセス
 
メトロ ランビュトー(Rambuteau)、オテル・ドゥ・ヴィル(Hotel de Ville)、シャトレ・レ・アル(Châtelet-les Halles)各駅下車。
  ポンピドー・センター所蔵作品展 「異邦人たちのパリ1900〜2005」  
国立新美術館のオープン記念展覧会。国内最大級規模、14,000m2の展示室に、ピカソやシャガール、モディリアーニ、藤田嗣治ら、20世紀初頭のパリに集まった外国人画家の絵画をはじめ、写真家ブラッサイやマン・レイの作品など、ポンピドー・センターが誇る所蔵品が結集する。
会期
 
2007.2.7-2007.5.7
会場
 
国立新美術館
所在地
 
東京都港区六本木7-22-2
Tel
 
展覧会に関するお問い合わせ
03-5777-8600(ハローダイヤル)
展覧会URL
 
http://www.asahi.com/
pompidou/
開館時間
 
10:00-18:00
※但し、金曜日は20:00まで
(入館は閉館の30 分前まで)
休館日
 
火曜日(但し5/1は開館)
観覧料
一般:1,500円
大学生:1000円
高校生:800円
中学生以下無料
MMFで出会えるポンピドー・センター
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