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アルノー・ブルジョン氏への インタビュー
「モビリエ・ナショナル」──この名称を耳にしたことがなくとも、
ゴブランやボーヴェのタピスリーやサヴォヌリーの絨毯ならご存知の方も多いはず。
古くからの伝統にのっとり、今も制作を続けているこうした工房を統括しているのが、
モビリエ・ナショナルです。国有の家具の管理・製作をしているこの機関は、
その優れたコレクションでも知られていますが、
今まではそれを公開するための決まったスペースがありませんでした。

そして、2007年5月12日、パリにオープンしたのが「ゴブラン織りギャラリー」。モビリエ・ナショナルの貴重なコレクションを、企画展などで公開するための美術館です。MMFでは、モビリエ・ナショナルのコレクション管理部門長を務めるアルノー・ブルジョン氏に、開催中の展覧会の見どころと、モビリエ・ナショナルの役割についてお伺いしました。
©Mobilier national-photo André Morain
 
▲「ゴブラン織り-1607年から2007年:創造の四世紀」から シャルル・ル・ブランの下絵に基づくゴブランのタピスリー
Collection du Mobilier national
© Philippe Sébert
MMF:日本では、王家の家具コレクションといえば、ヴェルサイユのコレクションがよく知られています。モビリエ・ナショナルのコレクションは、それと比較してどんな特徴がありますか?
A.B.:モビリエ・ナショナルは、ヴェルサイユ由来の椅子を何脚か所有していますが、一番良いものは1903年頃ルーヴル美術館の工芸部門とヴェルサイユに寄託されました。現在、所蔵する家具で一番多いのは18世紀から19世紀のものです。
     
モビリエ・ナショナルのコレクションで特に重要なのはタピスリーです。16世紀から21世紀のものまで6,000点を所蔵しています。プッサン、ヴーエ、ル・ブラン、ジャン=フランソワ・ド・トロワから、19世紀のオディロン・ルドン、20世紀のラウル・デュフィーまで…。モビリエ・ナショナルのタピスリーコレクションは、フランスのタピスリーの歴史そのものです。
 
MMF:王様がいなくなった現在でもタピスリーや家具を作り続けているということにとても驚きました。美術をよほど重要視していなければなかなかできることではありませんね。
A.B.:おっしゃるとおりです。フランスは世界で唯一の例外かもしれません。製作所は、4世紀にわたって生きた芸術を作りだしてきたのです。私に言わせれば、ポンピドー・センターなんてまだ赤ん坊のようなものです。開館から30年しか経っていないのですから。
▲「ゴブラン織り-1607年から2007年:創造の四世紀」から 《EustacheからNatachaへ》レイモン・アンス(1926-2005)によるボーヴェのタピスリー
2001-2005年
Collection du Mobilier national
© Isabelle Bideau
ゴブラン製作所は、ルイ14世治世末とフランス革命期の二度閉鎖されましたが、その度に蘇りました。
▲「ゴブラン織り-1607年から2007年:創造の四世紀」から 《パッション》ジャン=ミシェル・オトニエル(1964 - )によるボーヴェのタピスリー
2004年
Collection du Mobilier national
© Isabelle Bideau
現在でもゴブラン製作所でタピスリーを、サヴォヌリーで絨毯を作っていることを知っている人はほとんどいません。そして、この製作所のすごいところは、常に新しい境地を開き、同時代のアーティストに協力を依頼していることです。それもフランス人のアーティストだけではありません。非常に国際的なのです。例えば、今回の展覧会では、日本のアーティスト黒田アキ氏の美しい屏風が展示されています。タピスリーの下絵を制作してくれた磯部行久氏はオープニングのために日本から駆けつけてくださいました。
     
MMF:どのように下絵を注文するアーティストを選ぶのですか?審査基準は何ですか?
A.B.:アーティストがタピスリーの下絵を提出すると、造形芸術関係の代表者とモビリエ・ナショナルの代表者による委員会で検討します。この委員会は1年に2回召集され、公正な審査が行われます。展覧会をご覧になればお分かりになると思いますが、作品はとてもバラエティーに富んでおり、ひとつの流派に偏っているということはありません。作品のスタイルもアーティストの出身地もさまざまです。抽象や具象、ハイパーレアリスムなどさまざまなタピスリーがあります。
MMF:タピスリーに織るのに適した作品というものはありますか?
A.B.:はい。まず、ある程度大きな作品である必要があります。これが第一の判断基準です。それから、細かいデッサンがたくさん入った作品だと織るには複雑すぎますね。アーティストの側でも、タピスリーにすることを考慮して作品を作ると、いつもとは少し違ったアプローチが生まれるようです。
▲ボーヴェの製作所
© Mobilier national -photo Sophie Zénon
 
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モビリエ・ナショナル
所在地
 
42 avenue des Gobelins -75013 Paris
Tel
 
33(0)1-44-08-52-00
入館料
 
一般:6ユーロ
割引料金:4ユーロ
※展覧会会期中のみ開館。
アクセス
 
メトロ:7号線ル・ゴブラン
(Les Gobelins)駅
バス:27, 27, 47, 57, 67, 83, 91番線
開催中の展覧会
 
「ゴブラン織り-1607年から2007年:
創造の四世紀」
会期
2007.5.12〜2007.9.30
休館日
月曜日
開館時間
12:30-18:30
ゴブラン、ボーヴェ、 サヴォヌリーの製作所(パリ)
所在地
 
42 avenue des Gobelins - 75013 Paris
Tel
 
33(0)1-44-54-19-33
見学(要予約)
 
火曜・水曜・木曜日の以下の時間帯
個人:14:00〜/15:00〜
団体(20名まで):14:20〜/15:20〜
見学料
 
10ユーロ
サヴォヌリーの国立工房(ロデヴ)
所在地
 
48 avenue du Général de Gaulle - 34700 Lodève
Tel
 
33(0)4-67-96-40-40
見学(要予約/20名まで)
 
火曜・水曜・木曜日の午後
見学料
 
3.2ユーロ
ボーヴェの製作所(ボーヴェ)
所在地
 
24 rue Henri Brispot - 60000 Beauvais
Tel
 
33(0)4-67-96-40-40
見学(要予約/ボーヴェ観光局を通じて団体のみ受付/20名まで)
 
火曜・水曜・木曜日の午後
見学料
 
3.2ユーロ
ボーヴェ・タピスリー・ギャラリー
所在地
 
22 rue Saint-Pierre - 60000 Beauvais
Tel
 
33(0)3-44-15-39-10
休館日
 
月曜日
開館時間
 
4/1〜9/30:
9:30-12:30,14:00-18:00
10/1〜3/31:
10:00-12:30,14:00-17:00
MMFで出会えるモビリエ・ナショナル
MMFインフォメーションセンターでは図録や展覧会カタログなど、モビリエ・ナショナルに関する書籍を閲覧いただけます。
 
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