故郷の美しい景観とともに観賞できるクールベの美の館

▲リニューアルオープンしたクールベ美術館のファサード

 クールベ美術館はクールベが生まれ、そして幼少時代の数年間を過ごした旧エベール邸(L'hôtel Hébert)の建物を利用しています。2008年から3年の歳月をかけた改装工事で、旧エベール邸に加え、隣接する2棟の家も美術館の一部となり、美術館の総面積は500uから2,000uへと大幅に拡張されました。コレクションの保存、展示の両面でより快適な環境が整えられ、旧エベール邸の歴史的価値を守りながら、モダンな美術館として新たにその扉を開きました。

▲ルー川に張り出したガラス張りのギャラリー

 新しい美術館の建築で最も特徴的なのが、美術館のファサードから突き出した巨大なステンレス製の箱です。「ブラック・ボックス」と呼ばれるこの箱状の空間内では、大画面でクールベの大作を紹介するショートフィルムが上映されています。また常設展の入口が設けられた美術館の裏手には、ルー川の上に張り出したガラス張りのギャラリーがあり、そこからオルナンの風景を望むことができます。来館者にオルナンの美しい景観をまず心に刻んでもらい、それからクールベの作品を鑑賞してほしいという美術館の意図がここに隠されています。

ルネ・ラリックとラリック社の歴史をたどるコレクション

▲《サン=ペラジー刑務所の自画像》1872年 クールベ美術館蔵

 美術館の常設展は、オルナンやパリにおける初期の作品から、伝統絵画の美意識を覆した写実作品、そして印象派にも影響を与えた後期の風景画と、クールベのキャリア全体を振り返ることのできる内容です。1848年の2月革命や1871年のパリ・コミューンなど、クールベは生涯を通じて政治と深く関わりを持った画家でもあります。そうしたクールベの鋭い社会思想やそこから生まれた新しい美意識に焦点を当てながら、画家の人生をたどっていきます。コレクションの中でも、パリ・コミューンに参加した後に投獄された、サン=ペラジー刑務所内の自画像は貴重な作品とされ、クールベ美術館の見逃せない作品のひとつに数えられています。

▲《オルナンの眺め》1872年 クールベ美術館蔵
© Ornans, musée départemental Gustave Courbet

 また美術館はオルナンやフランス各地の自然、そして亡命先のスイスの風景など、豊富な風景画のコレクションも有しています。注目したいのは、やはりクールベの故郷オルナン、またその周辺地域を描いた作品の数々です。オルナンを流れるルー川の風景や岩山を背景にした《オルナンの眺め》をはじめとした作品からは、クールベの故郷への深い愛情が伝わってくるようです。

 日本の皆さんをこのオルナンのクールベ美術館にお迎えできることを心待ちにしています。美術館では修業時代からスイス亡命以降までの、クールベの人生全体をたどっていただけます。ここオルナンはクールベの絵画の中を散策する気分にさせてくれる、たいへん貴重な場所です。クールベの愛したオルナンの素晴らしい風景をぜひ堪能しにいらしてください。
▲クールベ美術館 学芸員アシスタントのジュリー・デルマス(Julie Delmas)氏
Update : 2011.10.1
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  • 所在地
    1, Place Robert Fernier 25290 Ornans
  • Tel
    +33(0)3 81 86 22 88
  • URL
    http://www.musee-courbet.fr/
  • E-Mail
    courbet.musee@doubs.fr
  • 開館時間
    7月〜9月:10 : 00-18 : 00
    10月〜6月:10 : 00-12 : 00、
    14 : 00-18 : 00
  • 休館日
    火曜日
  • 入館料
    一般 : 6ユーロ
    割引料金 : 4ユーロ
    *毎月第1日曜日は無料
  • アクセス
    パリのGare de Lyon駅からBesançon駅までTGVで約2時間30分。Besançon駅からPontarlier行きのバスで約40分。Ornans Placeで下車

 

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