トゥールーズ=ロートレック美術館のコレクションは、多数のリトグラフ、油彩画、素描を中心に、ロートレックが幼少期から青年期に故郷で描いた作品から、パリで成功した後の有名作品まで幅広い内容を誇っています。ロートレックがパリの画塾に入り、本格的な絵の勉強をする以前の作品は、ほかではなかなか見ることのできないものばかり。故郷の風景や動物の油彩画、そして学校の授業中にノートに描いた落書きなど、幼い頃から画才を発揮していた少年ロートレックの姿が目に浮かぶような作品が豊富に揃っているのが、この美術館の大きな魅力です。
若き日のロートレックの油彩画やデッサンに注目すると、描かれた動物の中でも、馬が頻繁にモティーフに取り上げられていることに気づかされます。脚が不自由な自身の思いをぶつけるかのように、無名時代とは思えないほど見事な表現力で、たくましく堂々とした馬の体躯が描かれているのが印象的です。
また見どころのひとつが、娼婦やモンマルトルのキャバレーで働く女性たちを巧みな視点でとらえ、ドキュメンタリータッチで描いた油彩の作品群です。サロンで足を投げ出しくつろぐ女性たちなど、その飾らない姿からは、画家が彼女たちの内面までをも描出する力を持っていたことがよく分かるでしょう。こうした油彩だけでなく、キャバレーの人気踊り子や、娯楽に興じる客の姿を生き生きと描いた世界的に知られるロートレックのポスターのリトグラフ31点も見逃せません。
そして有名画家になっても、ロートレックにとって常に変わらず重要なテーマであり続けたのは、身近な人々の肖像画でした。ロートレックのよき理解者であった母親や親しい友人、親族など、それぞれ異なる時期に描かれた油彩の肖像作品も多数収蔵しています。中でもキャリア後期に描かれた帽子屋の若い女性を描いた《婦人帽子屋》は、レンブラント(Rembrandt van Rijn/1606-1669)を思わせる明暗の美しいクラシックな画風が特徴で、卓越した画力を堪能できる1枚です。
- 日本美術や日本の浮世絵を愛したことでも知られるロートレックですが、トゥールーズ=ロートレック美術館では何年も前から日本と文化的な交流を行ってきました。日本の都市で展覧会を行うのはもちろんのこと、ここアルビのトゥールーズ=ロートレック美術館では日本の天皇皇后両陛下をお迎えする機会に恵まれたこともあります。私たちはたくさんの日本の皆さんが当美術館を訪れて、コレクションを楽しんでいただいているのを常々とても光栄に感じています。
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- 所在地
Palais de la Berbie BP100 Albi - Tel
+33(0)5 63 49 58 97 - URL
http://www.museetoulouselautrec.com - E-Mail
servicedespublics@museetoulouselautrec.com - 開館時間
1月 : 10:00-12:00 、14:00-17:00
2月〜3月: 10:00-12:00、
14:00-17:30
4月〜5月 : 10:00-12:00、
14:00-18:00
6月1日〜6月20日 : 9:00-12:00、
14:00-18:00
6月21日〜9月30日 : 9:00-18:00
10月 : 10:00-12:00、14:00-18:00
11月〜12月 : 10:00-12:00、
14:00-17:30 - 休館日
火曜日(ただし4月〜9月は毎日開館)、1月1日、5月1日、11月1日、12月25日改装のため2011年12月19日から2012年3月末まで休館 - 入館料
一般 : 5.5ユーロ
割引料金 : 2.5ユーロ(学生または15人以上の団体)
*13歳以下は無料 - アクセス
パリのMontparnasse駅からToulouse駅までTGVで約5時間30分。Toulouse駅からAlbi行きの電車で約1時間〜1時間半。Albi駅で下車
- B1Fインフォメーション・センターではロートレック美術館およびトゥールーズ =ロートレックの関連書籍を閲覧いただけます。
- 三菱一号館美術館
ロートレックの貴重なリトグラフが揃う三菱一号館美術館コレクション<U>
「トゥールーズ=ロートレック展」
2011年10月13日(木)〜12月25日(日)
http://mimt.jp/lautrec2011/
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