Rénovation du Musée d’Orsay 新生オルセー美術館

注目したいオルセー改装後の姿

パヴィヨン・アモン Le Pavillon Amont

 以前は吹き抜けの空間に5階の印象派の展示室へと続くエスカレーターが設置されていたパヴィヨン・アモン。この棟は新たに展示室へと生まれ変わり、今回のオルセーの工事では最も変化の顕著な場所となっています。
 パヴィヨンの0階では高い天井を活かし、《画家のアトリエ》、《オルナンの埋葬》(1849-1850年)といった、クールベ(Gustave Courbet)の大型作品が新しく展示されています。《画家のアトリエ》は、今回の工事でオルセーの開館以来、初めて移動した作品。以前、展示室の背後から差していた自然光がなくなり、格段と鑑賞がしやすくなり、スポットライトの明かりと深紫の壁を背景に、より奥行きが感じられるようになりました。

 続くパヴィヨン・アモンの2階から4階にかけては、1900年以降のヨーロッパ各地、アメリカのアール・ヌーヴォー作品の数々が集められています。興味深いのは、アール・ヌーヴォーの家具と、ヴュイヤール(Édouard Vuillard)やボナール(Pierre Bonnard)をはじめとするナビ派の作品を同時に展示するというオルセー初の試みです。

「装飾美術」として顧客から注文を受け描かれたナビ派の絵画作品が、当時の富裕層の自宅を彩る様子をイメージしやすいよう展示されています。
 そしてパヴィヨン・アモン最上階で私たちを待っているのは、時計台の窓から望むことのできる美しいパリの風景です。モンマルトル、オペラ座、ルーヴルと、パリの右岸に広がる景観はオルセーの大時計の針の間から見渡すと、より一層魅力的に感じられるから不思議です。

大時計裏のカフェ Le Café de l’Horloge

 オルセーの工事で改装が行われたのは、展示室だけに留まりません。5階の印象派ギャラリーに隣接する大時計裏のカフェは、ブラジル出身の現代アーティスト、カンパナ兄弟(Frères Campana)の手掛けた独創的な内装によってモダンかつ斬新な空間に生まれ変わりました。このカフェの装飾はフランスの文豪ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)の作品『海底二万里』にインスピレーションを受けたもの。ブルーの仕切り壁や赤い糸状の装飾、金色に輝く照明器具は、それぞれ海水、海草、貝をイメージしています。大時計の文字盤の窓を、潜水艦の窓になぞらえており、見る者をまるで深い海の底を探索しているような気分にさせてくれます。新しく生まれ変わったオルセーは、19世紀芸術の入口であると同時に、こうした現代の美意識への心地よい刺激までを私たちに与えてくれます。

大時計裏のカフェ

次回の特集では、オルセー美術館の学芸員にもご登場いただき、より詳細な新生オルセーの魅力をご紹介します。お楽しみに。

[FIN]

Update : 2012.1.1 文:増田葉子(Yoko Masuda)
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オルセー美術館 Musée d’Orsay

  • 所在地
    62, rue de Lille 75343 Paris
  • Tel
    +33 (0)1 40 49 48 14
  • URL
    http://www.musee-orsay.fr/fr/
  • 開館時間
    9:30-18:00
    木曜日は9:30-21:45
  • 休館日
    月曜日、1/1、5/1、12/25
  • 入館料
    一般:8ユーロ
    割引料金:5.5ユーロ
    18歳以下:無料
*情報はMMFwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は美術館ホームページでご確認いただくか、MMFにご来館の上おたずねください。
 

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