パリの現代アート1 ラ・トリエンナーレ〜パレ・ド・トーキョー〜 La Triennale Palais de Tokyo

日本でも人気のアーティストが語る新生パレ・ド・トーキョー

 パレ・ド・トーキョーのリニューアルオープンに際して、多くのアーティストが建物そのものに作品を提供しました。入り口ホールから階段を登った2階にあるのが、ジャン=ミシェル・アルベロラ(Jean-Michel Alberola/1953-)氏の作品《La salle des instructions(教訓の部屋)》です。

▲ジャン=ミシェル・アルベロラ氏

アルベロラ氏は、新潟県・越後妻有(えちごつまり)のトリエンナーレに参加したり、都営大江戸線勝どき駅に隣接するビルの壁に作品《For the Kachidoki People》を制作したりと、日本にも多くのファンを持つ現代アーティスト。彼は新生パレ・ド・トーキョーのために、実際に美術館職員の会議などに使われる部屋全体を、ひとつの作品として制作しました。部屋を囲む四方の壁に、独特の色彩を背景に持つ絵が並ぶこの部屋は、週末には一般にも公開されています。

 「パレ・ド・トーキョーが改修される際に、この部屋に絵を描いて欲しいとのリクエストがあり、プロジェクトが始まりました。まずこのスペースがあり、大きさや光の入り方、用途、扉や階段などの既存の要素を考慮に入れての作品制作を行う必要がありました」とこのプロジェクトの端緒を語るアルベロラ氏に、さらに作品の構想イメージをうかがいました。

 「色、デッサン(形)、文字の3つの要素から構成される1枚1枚が、まるで人のように向かい合って対話し、議論しているのです。1枚の絵の中で、デッサン・色・言葉が呼応し、向かいや横の壁にある絵とディスカッションをしながらさらに響き合います。すべての要素は1mm単位で計算・構想されています」

 アルベロラ氏の作品は絵、映画、彫刻など、多様なジャンルにわたりますが、リトグラフの作品も多数制作しています。2012年3月にMMFで紹介した版画工房イデム Idemの中にアトリエを構えており、そこで作られたリトグラフ作品は、Idem併設のギャラリーItemで見ることができます。

 アルベロラ氏の作品をはじめ、21世紀の世界をリードする現代芸術を肌で感じられるパレ・ド・トーキョー。長いアートの歴史を刻んできたフランスで、最先端のアートと出会える、いま最も新しいパリの美術館です。

▲パレ・ド・トーキョーのインスタレーションと同じ絵柄のリトグラフ作品。ジャン=ミシェル・アルベロラ《La question du pouvoir est la seule réponse》
©Courtesy Item Edition
▲こちらもパレ・ド・トーキョーの作品と同じシリーズのリトグラフ(日本語版)。ジャン=ミシェル・アルベロラ《The little utopian house VIII -(Devenir grain de sable)》
©Courtesy Item Edition

 次回の「パリの現代アート」特集では、2008年、パリ19区にオープンしたモダンアートの巨大カルチャースポット、サンキャトル「104」をご紹介します(10月1日アップ予定)。

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Update:2012.8.1 文・写真:中澤理奈(Lina Nakazawa)
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ラ・トリエンナーレ La Triennale

  • 会期
    2012年4月20日〜8月26日
  • 会場
    パレ・ド・トーキョー他

パレ・ド・トーキョー Palais de Tokyo

  • 所在地
    13, avenue du Président Wilson, 75
  • Tel
    +33(0)1 81 97 35 88
  • URL
    http://www.palaisdetokyo.com/
  • 開館時間
    12:00-24:00
    (12月24日、12月31日は18:00まで)
  • 休館日
    火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
  • 入館料
    一般:8ユーロ
    割引料金:6ユーロ
  • アクセス
    地下鉄9番線のIéna駅またはAlma Marceau駅下車

MMFで出会えるパレ・ド・トーキョー

*情報はMMFwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は美術館ホームページでご確認いただくか、MMFにご来館の上おたずねください。

 

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