8月にご紹介した現代アートの祭典「ラ・トリエンナーレ」に続き、「パリの現代アート」特集で今月ご紹介するのは、2008年にオープンして以来、パリジャンたちに大人気のアートスペース「サン・キャトル」です。アーティストと観客のための多目的文化センターとして誕生したこの施設は、訪れる度に新しい発見に出会える場所。週末には多くのパリジャンが「とりあえずサン・キャトルに行ってみよう」と気軽に足を運びます。
サン・キャトルとはフランス語で数字の「104」を意味します。施設がオーベルヴィリエ通り104番地(104 rue d'Aubervilliers)にあることからその名が付けられました。この場所は19世紀からパリ市営の葬儀場として使われていましたが、1998年に閉鎖されました。そして2001年、21世紀の都市再構築計画の一環として、パリの敏腕市長ドラノエ(Bertrand Delanoë)氏の指揮下で大規模な改造計画が打ち立てられ2006年に改築工事に着工。2年の歳月をかけ、2008年多目的文化センターとしてオープンを迎えます。
サン・キャトルのあるパリの北部19区は、この頃から急速に発展しますが、それまではあまり治安のよくない地域でした。ドラノエ市長には、アートに触れることができる施設をこの地区に造ることで「市民の生活をより潤沢にする原動力を生む」という狙いがありました。
総面積36,800u、25,000uもの展示・イベント用の空間を持つ総合的なアートセンター、サン・キャトル。そのメインとなる建物は、ふたつのガラス張りの屋根のある大きなホール(Halle Aubervilliers(アール・オーベルヴィリエ)とNef Curial(ネフ・キュリアル)です。このふたつのホールは中庭(Cour de l'Horloge)で分かれていますが、そこには区切りがほとんどなく、通りに面した入り口にも扉らしきものがない、非常に開放的な空間です。基本的に建物全体が多目的スペースで、入場は無料。カフェや店舗のある場所以外は、常にイベントの内容によって中身が入れ替わっていきます。
ホールや中庭では、ダンスの練習をしている若者のグループも見られます。オーベルヴィリエ通りに面したホールには地下にも大きなスペースがあり、その周りにはカフェや大きな書店、また中古品専門のブティック「エマウス(Emaüs)」もあります。エマウスは、失業者たちが結束してつくった大規模なリサイクル団体で、粗大ごみや回収センターに集められた中古品を販売できる状態にして店で売るシステム。パリにはブティックが数軒あり、蚤の市と同じように面白い掘り出し物が見つかる場所として人気です。
- 所在地
104 rue d'Aubervilliers 75019 Paris - Tel
チケット窓口
+33(0)1 53 35 50 00
総合窓口
+33(0)1 53 35 50 01 - URL
http://www.104.fr/ - 開館時間
11:00-20:00
金・土曜日は23:00まで
アトリエの公開は16:00-18:00 - 休館日
月曜日 - 入館料
無料
ワークショップ、
上映会などは別途要入場料 - アクセス
地下鉄2、5、7番線Crimée駅またはStalingrad駅下車
*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。