パリ近郊の中世の街2:中世市場都市プロヴァン

必見の4つのモニュメントと中世スペクタクル

城壁、教会、貴族の館、趣のある通りなど、中世の風景が今も随所に生き続けているプロヴァン。中でも観光パスで見学できる4つの歴史的モニュメントと、春から秋にかけて行われる中世スペクタクルは、プロヴァン散策の際に必ず押さえたいポイントです。

セザール塔 La Tour César

▲シャンパーニュ伯の権力のシンボル、セザール塔

シャンパーニュ伯の権力のシンボルを表すモニュメントが、プロヴァンの旧市街のほぼ中央にそびえる「セザール塔」です。高台に建つこの塔に上れば、プロヴァンの街の素晴らしいパノラマを見渡すことができます。12世紀に建てられたこの塔は、かつて監視台、刑務所、鐘楼など、複数の役割を果たしていました。現在塔の内部では、石の壁をスクリーン代わりにしたプロジェクターによる映像で、幻想的な音楽とともにセザール塔やプロヴァンの歴史を紹介しています。

地下道 Les Souterrains

▲地下道の入り口がある市立病院の建物

プロヴァンの街並みの下には、石の採掘跡の地下道が幾つも存在します。とりわけ丘の麓に近いサン=チボー通り付近には、重要な規模の地下道が張り巡らされています。この地下道はガイド付きでグループ見学をすることが可能。市立病院の地下に位置するアーチ天井のホールから見学がスタートし、蟻の巣のように入り組んだ暗い迷路状の地下道を進んでいきます。石の採掘が行われなくなった後、地下道は大市の際の専売所やワインを保存・熟成させるためのカーヴ(貯蔵庫)、またフリーメイソンの会合場所など、さまざまな用途で使われていました。地下道の壁に彫られた落書きも、今ではこの街の歴史を物語る興味深い資料のひとつです。

グランジュ・オ・ディーム La Grange aux dîmes

▲グランジュ・オ・ディームで再現されている毛織物商の蝋人形

シャンパーニュ大市の際に屋内市場、また倉庫の役割を果たした建物として、典型的な姿を残しているのが「グランジュ・オ・ディーム」です。この建物はトゥールーズの商人が大市の際に利用していたという記録が残されています。外壁には品物を搬入するための複数の入り口、そして屋外市場を覆う庇を取り付けるための石のでっぱりがあり、当時の市場の様子を彷彿とさせます。内部の美しいアーチ型天井のホールでは、毛織物商人や両替商、フランドルの商人など、リアルな蝋人形が当時の市場の様子を再現しています。

プロヴァン市およびプロヴァン市民博物館
Le Musée de Provins et du Provinois

▲宗教芸術の展示されている博物館の屋根裏の展示室

「プロヴァン市およびプロヴァン市民博物館」の入る建物は、11世紀に建てられたプロヴァンで最も古い民家のひとつ。通貨や錠前などの日常文化を伝えるコレクションから、プロヴァンの教会の宗教芸術など、重要文化財の含まれる多種多様な展示品で古代から19世紀までのプロヴァンの歴史の全体像を伝えています。

春から行われる中世スペクタクル Spectacles médiévaux

春から秋にかけてプロヴァンでは城壁の一部を利用した屋外の会場で、子どもから大人まで楽しめる中世スペクタクルを行っています。中世の武器、戦闘用の機械について学べるイベントや、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている鷹狩りのスペクタクル、プロヴァンの領主シャンパーニュ伯チボー4世の騎士伝説を描いた時代劇など、いずれも中世にタイムスリップできるような迫力ある内容が見ものです。

▲猛禽類が観客の頭上を勢いよく飛ぶ光景に出会える鷹狩りのスペクタクル
©Vol Libre, photo S. Danis
▲騎士伝説の躍動的で力強い騎乗での戦闘シーン
©Equestrio
Update:2013.4.1 文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)
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セザール塔

地下道

グランジュ・オ・ディーム

プロヴァン市およびプロヴァン市民博物館

*上記のプロヴァンの4つのモニュメントが見学可能な観光パスがあります。
http://www.provins.net/index.php/heritage-and-sightseeing/pass-cards.html

 

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