世界の美術館から[ 第2弾 ]ルーヴル・ランス　ザヴィエ・デクト館長インタビュー

▲常設展示の行われている大ギャラリー

X.D.：とてもよい反応をいただいています。美術館に訪れる習慣のある方々、ルーヴルのファン、また初めて美術館に来る方々、すべての来館者が素晴らしいと感じています。皆さん大ギャラリーの展示を観て、とても感動なさるようです。

▲古代エジプト部門の《トゥイ貴婦人の肖像》前1391-前1353年
© 2008 Musée du Louvre / Christian Décamps

X.D.：ここに来る作品の第一の条件となるのが、運搬が可能な作品かどうかということです。パリのルーヴルの所蔵作品はすべてが運搬可能というわけではないので、そこは難しい点でした。

　次に、相互に語り合う作品を持ってくる必要がありました。ひとつの作品をただ単に持って来るのではなく、周囲の作品と関連づけながら、然るべき場所に展示することを想像できる作品を持って来なくてはいけないということです。

　その上で、パリのルーヴルの所蔵作品の多様性を紹介することも肝心でした。ルーヴルは多種多様な並外れたコレクションを持っているからです。また妥当な作品を選んだとしても、時に印象の薄い作品もあるため、優れた作品、重要な作品を選ぶ必要がありました。

X.D.：パリとの違いは幾つもあります。まず建物が現代的であること、そこが一番の異なる点です。外観だけでなく、機能の面もそうでしょう。美術館のために設計された建物ですから。

　次に来館者との関係性の面で異なります。ここには異なるふたつのタイプの観客がいます。美術館にあまり来る習慣のない地元の観客と大きな展覧会の愛好家である世界各国からのルーヴル・ファンです。ここではこれらのふたつのタイプの観客が出会うため、私たちは観客にパリのルーヴルとは異なる方法で語りかけています。

　またパリのルーヴルよりもさらに先に行こうという熱意もあります。迎え入れる人々の特質もこの美術館のとても重要な部分です。

X.D.：ランスでの企画展はパリのルーヴルから完全に独立というのとは違いますが、ほぼそういう形になります。というのも、パリとは常に連携していますが、私たちはランスでルーヴル・ランスの企画展を考えているからです。まず私たちはルーヴルですし、関係性は必要です。また競争があってもならず、展覧会は同じレベルである必要があります。ルーヴルにはそれぞれの分野のスペシャリストである60人の学芸員がいるので、私たちは顧問である彼らと可能な限り連携をします。パリのルーヴルの権威とその力は、企画展のために世界の美術館と交渉する際、私たちの大きな後ろ盾となっています。

　企画展は春と秋にパリで、夏と冬にランスで交互に行います。企画展のスペースはパリに比べランスはずっと広く、2倍の大きさがあります。パリとランスでは同じ企画展は行いません。遠方から来る観客にとってはパリに行くのもランスに行くのも同じ展覧会では意味がなくなってしまうからです。