古今東西の貴重な発掘物や美術工芸品など約800万点を所蔵する世界最大の博物館のひとつ、大英博物館。その中から、とりわけ見逃せない作品のあるギャラリーをご紹介します。

アフリカ―セインズベリー・ギャラリー

このギャラリーはイギリスのセインズベリー氏の多大な寄付により作られたため、この名前がつけられました。

▲アフリカ部門の展示室に飾られている《生命の樹》
© Trustees of the British Museum.

　古代以来の日用品やユニークな芸術品を通じて、アフリカの多様な文化生活を紹介しています。20万点以上もの所蔵品からなるアフリカ・コレクションは、考古学資料から現代の作品まで、アフリカ大陸に関する品々を網羅しています。
　ナイジェリア・イフェの《ヨルバ族首長の真鍮製の頭部》や銃で作られた現代彫刻《生命の樹》があるほか、中央アフリカの彫刻やテキスタイル、兵器類のトーディ・コレクションにも見逃せない品々があります。

古代ローマ

▲《ポートランド壺》
© Trustees of the British Museum.

　このギャラリーでは、小さな町から地中海沿岸の盆地と北西ヨーロッパ一帯を支配する帝都へと発展したローマの勃興に焦点が当てられています。ローマの伝説的な始まりの年、紀元前753年からコンスタンティヌス1世（272-337）が現在のイスタンブールの地にキリスト教の都、コンスタンティノープルを築く紀元後324年までをたどっています。
　展示品は、古代ローマ帝国の各地から集められたものです。その内容は、石や金属で作られた歴代皇帝や神々の像から宝飾品、銀器、陶磁器、そして有名なカメオ・ガラス《ポートランド壺》を含むガラス器までと多岐にわたります。

中世ヨーロッパ

▲中世ヨーロッパの展示室
© Trustees of the British Museum.

　新たに改装されたポール & ジル・ラドック中世ヨーロッパのギャラリーでは、世界でもっとも素晴らしい中世の宝物が数多く展示されています。イギリス、ヨーロッパ、そしてビザンティンの品々を通じて、領土戦争と政治的混乱を経て今日われわれが知るヨーロッパ大陸が形成されていった大きな変革の時代の歴史をたどることができます。
　日常生活において教会が権勢を誇った時代から、新たに商人らが台頭することでヨーロッパ中に社会変化が広まった時代まで、ユニークかつ有名な展示品の数々が、それぞれの時代の主な流れを示してくれます。旅や貿易、巡礼によってもたらされる文化的・知的・政治的交流はもちろん、宮廷の儀式や典礼についても調査されています。宗教美術に関連する展示品もあり、それぞれの時代に、聖なるものがどのように表現されていたかを示しています。