1900年のパリ万博をイメージした本展は、6つの「パビリオン」から構成されています。展示作品は、絵画、彫刻、コスチューム、ポスター、写真、映画、家具、宝飾と多岐にわたり、当時パリが世界に誇った文化、芸術をあらゆる角度から紹介。
贅沢と華やかさに満ちたベル・エポックの魅力を伝えています。
1900年のパリ万博を機に、120ヘクタールもある万博会場へのアクセスの便を図るため、インフラの整備が大々的に行われました。アンヴァリッド駅やオルセー駅、そして万博のパビリオンとして造られたプティ・パレやグラン・パレへと続くアレクサンドル3世橋は、その都市計画の代表的な例。パリに初めて地下鉄が登場したのも、このパリ万博の時でした。
展覧会の冒頭では万博時の建造物にまつわるデッサンや写真、絵画作品、またそれら建造物を彩った装飾作品を多数紹介しています。印象的なのは、作品の中に今と変わりないパリの風景を見つけられる点。一歩美術館の外へと踏み出せば、展示作品に描かれた風景と同様の景色が目の前に広がっています。
1900年といえば、アール・ヌーヴォーと呼ばれる装飾様式の全盛期でもありました。万博内はもちろん、会場の外でも、高級ブティックやアートギャラリーにア
ール・ヌーヴォー様式の作品が溢れました。本展の展示作品は、絵画や陶器、日常の家具、また宝飾やコスチュームなど多彩な内容です。さらに象牙や製本、ステンドグラスといった伝統的な装飾の分野にもこのスタイルが波及していたことから、当時のアール・ヌーヴォーがいかにセンセーショナルなブームを巻き起こしていたかが分かります。
技術や発明の紹介と同時に、芸術作品の展示にも力を入れたことが、パリ万博が大きな成功を収めた理由のひとつです。1900年の万博時、グラン・パレとプティ・パレは過去10年間の作品を主軸にフランス美術の回顧展を行いました。
本展3つ目のセクションでは、伝統的なアカデミー絵画はもとより、印象派、ナビ派、象徴派といった19世紀末に次々に登場した流派の作品を見ることができます。
また別室の展示室には、当時揺るぎない栄光を手にしていたロダン(Auguste Rodin/1840-1917)の彫刻作品の数々が集められています。
次ページでは、展示の後半部分の3つの「パビリオン」から
1900年当時のパリに生きる人々の姿をご紹介します。>>
Update : 2014.6.1 文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)
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