今回の展覧会は、1860年代から1880年代初頭にかけての時代を中心としています。この時代は、まさにパリという街が近代化を遂げた時期。セーヌ県知事オスマンによる改造計画によって、中心部から貧民街が一掃され、パリは大通りや公園、広場のある近代都市へと変貌を遂げたのです。
新しい街を舞台に繰り広げられる生活は、多くの芸術家を魅了しました。詩人ボードレールは画家たちに現代生活を描くよう説き、印象派の画家たちの多くは、同時代の風俗をカンヴァスに映し出していきました。
モネの《草上の昼食》《サン=ラザール駅》やドガの《競馬場、1台の馬車とアマチュア騎手たち》《バレエの舞台稽古》などの出品作からは、誕生間もない近代都市パリの生き生きとした鼓動が聞こえてくるようです。
印象派展は、モネやルノワール、ピサロ、カイユボットといった、サロンで好評価を得られない若手画家たちが、自ら組織した作品発表の場でした。1874年に初めて開催され、以降、1886年まで断続的に計8回開催されました。
印象派展を組織し、参加したのは志を同じくする“仲間”ではありましたが、それぞれの画家と印象派展との関わりを見ると、印象派が“派”としては必ずしも一枚岩ではなかったことがよく分かります。ただひとりの“皆勤賞”ピサロは、時に仲違いをする画家たちの調整役。カイユボットは会場費を払うなど私財を投じたパトロンでもありました。ドガはその“独裁ぶり”からグループに亀裂を生じさせることもありました。
印象派展の出品作とサロンの出品作を数多く紹介する今回のオルセー美術館展。“前衛”と“保守”を同じ土俵に並べることで、その双方の魅力に迫り、当時の美術界を俯瞰する展覧会です。ぜひ、足をお運びください。
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