展示のさらなる見どころは、コレットが晩年まで過ごしたパリのパレ・ロワイヤルのアパルトマンをテーマにした空間です。家具や本、絵画など、コレットが実際に所有していた品々によって、サロンと寝室の2部屋が再現されています。前室の展示からも分かるように、コレットは生涯を通して自身の写真を数多く残しました。それら写真や映像をもとに室内には家具や小物が忠実に配置されています。中には筆立てや手帳、メガネなど、コレットのたいへん身近な必需品の展示も。室内に響くコレットの深みのあるしゃがれた声に包まれ、コレット独特の世界へと引き込まれます。
また隣接するふたつの展示室のキャビネットには、コレットの所有していた蝶の標本や、ガラスの置物のコレクションが集められています。クリスタルのペーパーウエイトを、コレットは「不変の小さな庭」と表現し愛したといいます。赤や青など色とりどりのコレクションは、普段モノクロの資料でしか触れることのできないコレットのイメージに、明るい色を添えてくれます。
記念館2階では常設展示以外にも、コレットの作品や生涯に焦点を当てた企画展が毎年行われています。第一次世界大戦勃発から100年を迎えた2014年のテーマは、「戦時下の女性、コレット」(2014年10月末まで開催)。ル・マタン紙主筆の夫、ド=ジュヴネルとともに第一次大戦下でジャーナリストとして活躍していたコレットをクローズアップしています。展覧会ではコレットによって執筆された記事や、戦地から友人へと送った手紙など、貴重な資料の数々を展示。パリで、廃墟と化した町で、重症を負った軍人の枕元で……戦時中コレットが男勝りに行った取材活動の様子を知ることができます。濃密な恋愛を描いた作家コレットとはまた異なる顔、“女性記者コレット”の一面を発見できる機会です。
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Update : 2014.10.1 文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)
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