Dossier special - 海外の特集

  • 1.ブローニュの森に現れた新しいパリのモニュメント
  • 2.現代建築の巨匠フランク・ゲーリーが生み出した巨大な彫刻
  • 3.ルイ・ヴィトン財団美術館ならではの現代アートとの出会い

ルイ・ヴィトン財団美術館

現代建築の巨匠フランク・ゲーリーが生み出した巨大な彫刻

▲印象的なルイ・ヴィトン財団美術館のガラスのファサード
©2014 Todd Eberle

 ルイ・ヴィトン財団美術館の設計を手掛けたのは、アメリカのロサンゼルスを拠点に活動する著名な建築家フランク・ゲーリー。常識にとらわれないアイディアで常に革新を追い求め、現代建築界をリードし続ける存在です。スペイン、ビルバオのグッゲンハイム美術館、ベルリンのDZ銀行ビル、ロサンゼルスのウォルト・ディズニー・コンサートホール、ニューヨークのIACビルなど、アメリカ、ヨーロッパにおける建築作品が代表作として挙げられ、それらの奇抜で大胆なフォルムの建築は世界で高い評価を得ています。

▲馴化園の庭園の自然に馴染むルイ・ヴィトン財団美術館の建物

 ゲーリーがLVMHグループのベルナール・アルノー氏に初めて出会い、設計の依頼を受けたのは2001年12月のことでした。その2ヶ月後には建設予定地を実際に訪れ、ゲーリーの手掛けるルイ・ヴィトン財団美術館の建設プロジェクトは本格的に動き始めました。ゲーリーはプルースト(Marcel Proust/1871-1922)の小説に登場するブローニュの森との出会いにたいへん感銘を受け、自らが手掛けるモダンな建築を、いかに周囲の自

▲ガラスのファサードは、鏡のように空と森の緑を映し出す
©2014 Todd Eberle

然に馴染ませるかを設計の重要なコンセプトとして据えました。プロジェクトが進行し、さまざまなアイディアの建築模型が製作される中、ゲーリーが思い描いたのはガラス張りのライトな印象の建築。パリのグラン・パレのように19世紀フランス特有のガラスと鉄骨を駆使した建築を、19世紀のエスプリを残す庭園のイメージに重ね合わせたのです。
 そして最終的に採用されたのが、空や周囲の緑を反射する透き通った外観を備えた設計プランでした。「変わり続ける世界のイメージに合わせ、時間や光に応じて変化する建築を造りたかった。束の間の印象と、絶えず繰り返し変化する印象を生み出すために。」ゲーリーは建物の設計にあたり、自身のヴィジョンをこう語っています。
 建築の内部の構造は、「アイスバーグ」と名づけられたブロック状の塊が使われています。そこへ12枚の巨大なガラスのカバーが被せられ、ボリュームと動きのある複雑な外観を持つ建物が実現しました。巨大な彫刻を思わせるこのフランク・ゲーリーによる建築が、ほかならぬルイ・ヴィトン財団の発信する現代アート作品第一号というわけです。

▲水庭を覆うカーブの構造が印象的な屋根
©2014 Todd Eberle
▲美術館内の階段状の水庭
©2014 Todd Eberle

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Update : 2015.2.1 文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)ページトップへ

ルイ・ヴィトン財団美術館

所在地
8, Avenue du Mahatma Gandhi Bois de Boulogne 75116 Paris
Tel
+33 (0) 1 40 69 96 00
URL
http://www.fondationlouisvuitton.fr/
開館時間
月曜日、水曜日、木曜日:
12:00-19:00
金曜日:12:00-23:00
土曜日、日曜日:11:00-20:00
休館日
火曜日
入館料
一般:14ユーロ
26歳以下:10ユーロ
18歳以下:5ユーロ
3歳以下:無料
アクセス
パリ地下鉄1番線Les Sablons駅下車、徒歩10分〜15分。またはパリの凱旋門広場より送迎バス有り(1ユーロ)。
※この情報は2015年2月更新時のものです。

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