ルドゥーテ記念館は、植物画家ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテの名声を広める目的で、サン=テュベールの町の助役であったジャック・ギョーム(Jacques Guillaume)氏の指揮のもと、1984年6月に創設されました。記念館はオープンにあたってルドゥーテの子孫から肖像画をはじめとしたルドゥーテ家に伝わる品々を譲り受けましたが、その他のコレクションは数点の版画作品に限られていました。そこで記念館の活動はルドゥーテ関連の作品を収集することから始まりました。アンティーク市や古書専門の本屋などを巡り、ルドゥーテの画集や版画作品の収集が行われ、有志の熱意のもとに現在の記念館の所蔵コレクションが形成されたのです。その資金はベルギー国内やドイツなどでルドゥーテの展覧会を行い、出版物を販売することで得られました。そして1987年に、ルドゥーテ通りにある現在の建物を利用した記念館が開館するに至りました。
記念館ではルドゥーテとその妻マリー=マルト(Marie-Marthe Gobert)の肖像画や、タバコのおろし金、ミュージックボックスなど、ルドゥーテ家ゆかりの品々とともに、ルドゥーテの出版したバラ図譜の復刻本や、オリジナルを含む版画作品の数々を展示しています。展示はブリュッセル自由大学(Université libre de Bruxelles)の学生の協力のもと、ルドゥーテとコラボレーションをした植物学者や、彼の作品に影響を受けた装飾美術に関してなど、ルドゥーテ周辺の情報も掘り下げて紹介しています。
さらにルドゥーテの兄弟である、アンリ=ジョゼフ(Henri-Joseph Redouté/1766-1852)によるナポレオンのエジプト遠征を描いた版画作品など、ピエール=ジョゼフ以外のルドゥーテ家の軌跡をたどることができるのも、このサン=テュベールのルドゥーテ記念館の特色です。ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテによるオリジナルの水彩画は記念館のコレクションには含まれていませんが、ルドゥーテの生涯とその周囲に関する知識を深めるには最も充実した展示内容の記念館となっています。
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Update : 2015.4.1 文・写真:増田葉子(Yoko Masuda)
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