Dossier special - 国内の特集

  • 1.南雄介副館長に聞く─マグリットの魅力
  • 2.副館長が案内するマグリット展1
  • 3.副館長が案内するマグリット展2

マグリット展

副館長が案内するマグリット展1 作品から紐解く─マグリットの魅力

1.言葉とモノとの関係をゆさぶる!《一夜の博物館》1927年

▲セクションU「シュルレアリスム」より《一夜の博物館》
油彩、カンヴァス 56×65cm 個人蔵
©Charly Herscovici / ADAGP, Paris, 2015

南副館長が解説! 4つに仕切られた箱。上段には手首とリンゴ。しかし、下段は?
右下の棚には切り取られた紙が貼られ、中身は隠されている。そして左下にあるのは、名付けられない形。何だか分からない。つまり、モノそのものを表しているんです。本来、世界は名状しがたいモノ、わけのわからないモノに満ちている。だけれど、人間はそれに名前と役割を与えて、世界を飼いならして日常生活を送っている。マグリットは、モノと名前・役割を切り離すことで、生々しい直接的な「モノ」として立ち現れる世界を描いたんです。

2.「問題と答え」という手法とは?《人間の条件》1933年

▲セクションV「最初の達成」より《人間の条件》(左)
油彩、カンヴァス 100×81cm
ワシントン・ナショナル・ギャラリー

南副館長が解説! 1930年代、マグリットは「問題と答え」という方法を編み出します。事物を「問題」として設定し、それに対する「答え」と組み合わせて作品にするのです。この作品では、「窓」が問題で「風景画」が答え。窓は、外の景色を見るのに必要でありながら、中と外を隔てる存在である、という両義的なオブジェです。一方、この風景画は、室内に存在していながら、描かれている風景は外の風景と連続している。つまり、風景画は室内にも外界にも属している。そういう両義的な存在であるという点で、窓と似ている。それがゆえに、「問題と答え」となっている、というわけです。

3.戦争の最中マグリットに印象派到来!《不思議の国のアリス》1946年

▲セクションW「戦時と戦後」より《不思議の国のアリス》
油彩、カンヴァス 146×114cm
個人蔵
©Charly Herscovici / ADAGP, Paris, 2015

南副館長が解説! 1920年代、30年代と人々を不安にさせるような不条理なイメージの作品を描いてきたマグリットですが、第二次世界大戦が起こると画風を一変させます。ナチスの時代になり、自分の描いてきた狂気や不条理といった世界が現実のものとなってしまったとき、それに抵抗するように、それまでとは大きく異なる作品を描くようになります。いわゆる「ルノワールの時代」です。印象派の筆触や色彩を用いた明るい絵で、1943年から47年までこのスタイルで描き続けます。この作品では、童話風のイメージを印象派風の色彩と筆触で描いています。

次ページでは、引き続き南副館長にマグリット展を案内していただきます。>>

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Update : 2015.5.18ページトップへ

マグリット展

会期
2015年3月25日(水)
〜6月29日(月)
会場
国立新美術館 企画展示室2E
URL
http://magritte2015.jp/
開館時間
10:00-18:00
金曜日は20:00まで。
5月23日(土)、24日(日)、
30日(土)、31日(日)は20:00まで。
※入場は開館の30分前まで。
休館日
火曜日
※ただし5月5日(火)、26日(火)は開館。
入場料(税込)
一般:1,600円
大学生:1,400円
高校生:800円
中学生以下は無料。
※この情報は2015年5月更新時のものです。
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